銀河鉄道の夜
宮沢賢治の代表作『銀河鉄道の夜』は、夏のある一日に天の川を北から南へ旅する物語だ。
この旅は、はくちょう座にある白鳥の停車場から始まり、サザンクロス(南十字星)で終わる。
アルビレオの観測所からは黄色と青の美しい二重星(アルビレオ)が見え、さそり座の近くでは真っ赤に燃える炎(アンタレス)が見える。
なんとも美しい情景である。

もし、銀河鉄道に乗って、“天の川ツアー“なんてできるなら、ぜひ行ってみたい。
無数の星々でできた天の川を挟んで見える星座たちを、目の前で見れたらさぞかしよい気分だろう・・・。
たとえば、アルビレオ観測所(ここではアルビレオのすぐ近くにあると仮定する)へ降り立つことができたら、ほかの星はどんなふうに見えるだろうか?
アルビレオ(βCyg)は、太陽から約380光年離れたところにある。
ほかのはくちょうざの星たち、デネブ(αCyg)は約1800光年、左翼の先にあたるδ星(δCyg)は約170光年、心臓のあたりにあるγ星(γCyg)は約600光年とみんなバラバラ。
これでは、はくちょう座は十字に見えるどころか、それぞれの星の見える方向も違う。
また、デネブとともに“夏の大三角形”として有名なこと座のベガ(αLyr)は25光年、わし座のアルタイル(αAql)は17光年はなれているので、地球から見るよりかなり暗く、太陽の方向に見えるはずである。

銀河鉄道からは、いつもとはまた違った星空を楽しめそうである。