星の色とスペクトル
舞台のクライマックス。赤・青・緑のスポットライトが重なり、 白い光になって、舞台に主人公が浮かび上がる...。
こんなシーンをほとんどの人が見たことがあるだろう。
あのスポットライトの3色〜赤・青・緑〜は、均等に混ざると白い光になる。
これは光の3原則として知られ、普段私たちの見ている自然の色も実は光の組み合わせによって違っている。

分光器とは、混ざり合った光を分けて、「それぞれの光がどのような配分で混ざり合っているのか?」を調べる器械である。
さて、光の配分が違うとどうなるのか?
例えば、星の場合。
星の色にもいろいろあるが、そのスペクトルを観測すると、白い星や青白い星のスペクトルは、どの色も均等な虹色に見えるのに対し、赤い星のスペクトルは赤い方が強い。
つまり星自体の色は、スペクトル上で見える色の足し合わせなので、3色がほぼ均等に混ざる星は白っぽく、赤色が強い星は赤っぽく見えるのである。

ここで、星の色は温度によって違うことから、スペクトルを調べれば星の表面温度もわかる、ということになる。
この虹色の光の帯−連続スペクトル−は、黒体輻射と呼ばれる波長ごとのエネルギー分布にほぼ近似でき、その分布の形から星の表面温度を導き出せる。
また、もうひとつの重要な情報である線スペクトルの特徴からは、星の大気の構成成分や運動の様子など、様々な物理的な情報を知ることができる。
したがって、遠くの星でもスペクトルが観測できれば、その特徴を知ることができるのである。