MCG-6-30-15のX線スペクトル
あすか はセイファート1型銀河であるMCG-6-30-15を観測し,
巨大ブラックホールのまわりに形成されている降着円盤の,
ブラックホールのごく近くから放射されたと思われる鉄の特性X線を検出しました.
上のグラフの十字が観測データで,横棒は各データのエネルギー範囲を,
縦棒はデータの不確定さを表します.
データはスムーズな曲線(モデル:ここではヒストグラムで示した巾関数)
で合わせると,6keV前後に超過が見られます.
下のグラフはデータがモデルからどれだけ外れているかを示した図です.
この6keVあたりの超過が,
ブラックホールの近くの降着円盤から放射された鉄の特性X線と考えられます.
中心のエネルギーが低エネルギー側にずれていること,
広い幅を持つこと,高エネルギー側で強いピークがあること,などの性質は,
ブラックホールの近く(およそ10倍から20倍のシュバルツシルト半径あたり)
から放射された鉄輝線と考えるとうまく説明できます.
資料提供:井上一(宇宙科学研究所) |
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相対論的降着円盤からの輝線のモデル計算例 (中心天体はシュバルツシルトブラックホール)
10シュバルツシルト半径内で輝線放射率は一定 |
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相対論的降着円盤からの輝線のモデル計算例 (中心天体はシュバルツシルトブラックホール)
20シュバルツシルト半径内で輝線放射率は一定 |