ブラックホールの家族
種類と構造
Type and Structure
ブラックホールにはどんな種類があるのでしょうか? また,それぞれどんな構造をしているのでしょうか?

<もっとも単純な天体だ>


ブラックホールには毛がない

色や形や粒子の違いなど, ブラックホールになる前に物質が持っていたであろう様々な特徴は, ブラックホールになるとすべて失われてしまうのです.
その結果,ブラックホールを特徴づける要素(属性)には,

質量・自転(回転)・電荷

の3つがあります/3つしかありません. このことをホィーラーは, 「ブラックホールには毛がない」といいました. 英語圏では<ブラックホールの毛なし定理>といいますが, 日本ではさしずめ<おばQ定理>というところです.


シュバルツシルト・ブラックホール

一番単純なブラックホールは,球対称のブラックホールで,
シュバルツシルト・ブラックホール (Schwarzschild black hole) と呼ばれています.

シュバルツシルト・ブラックホールは, 事象の地平面(event horizon)という, 一方通行の球面で取り囲まれています. 事象の地平面は,それより内側に一歩でも踏み込むと, 二度とこの世に戻ってこれないという境界面で, その内側からは光さえ出てこれません. その彼方のできごと(事象)が見えなくなる境界(地平面)という意味で, 事象の地平面と呼ばれています. ニュートン力学のイメージでは, 脱出速度が光速に等しくなる面が事象の地平面です.

このシュバルツシルト・ブラックホールの事象の地平面の半径をとくに, シュバルツシルト半径(Schwarzschild radius)と呼びます. ブラックホールの質量を M,光速を c, 万有引力定数を G とすると, シュバルツシルト半径 rgは,

という簡単な式で表されます. 事象の地平面の半径は,ブラックホールが回転していると, 若干小さくなります.

いろいろなブラックホール
天体質量半径シュバルツシルト半径
地球5.98×1024kg6.38×106m0.9cm
太陽1.99×1030kg6.96×108m3km
中性子星1.4太陽質量10km4.2km
ミニブラックホール1012kg10-13cm
典型的なブラックホール10太陽質量30km
超大質量ブラックホール1億太陽質量2天文単位
c = 3×108m/s
G = 6.67×10-11 N m2 kg-2
1太陽質量 = 1.99×1030kg


ブラックホールの種類 その1

質量・自転・電荷という属性によって,ブラックホールを分類する

シュバルツシルト・ブラックホール
質量M
静止
電荷なし
→電荷Q ライスナー=ノルデシュトルム・ブラックホール
質量M
静止
電荷Q
↓角運動量J bhtype ↓角運動量J
カー・ブラックホール
質量M
自転J
電荷なし
→電荷Q カー=ニューマン・ブラックホール
質量M
自転J
電荷Q


ブラックホールの種類 その2

質量の大きさによってブラックホールを分類する


ブラックホールの常識のウソ その2
ブラックホールは複雑か?

ブラックホールはややこしい天体?

実は宇宙でもっとも単純な天体


ブラックホールの世界へ
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