現実の宇宙では,1979年,
17等級のクェーサー0957+561A,Bが,
最初の重力レンズ天体として発見されました.
このクェーサーは,角距離が5.7秒角離れた2つの成分AとBからなるのですが,
このAとBが分光学的にまったく同じ姿をしていることが判明し,
成分AとBが,別のクェーサーではなく,
遠方のクェーサー(赤方偏移1.4)からの光が,
途中の銀河や銀河団(赤方偏移0.39)の重力場によって曲げられてできた,
2つの重力レンズ像であることがわかったのです.
現在では,さまざまな重力レンズ天体が発見されてきていて,
重力レンズは遠方の宇宙を探る強力な手段になりつつあります.