降着円盤に対しては、ケプラー回転している標準モデルを用いた。
ただし重力場に対しては、カーブラックホールを模倣する
擬ニュートン力を使った(Artemova et al. 1996)。
コロナは光学的にも幾何学的にも薄く、
降着円盤の輻射場による輻射抵抗を受けるものとする。
コロナの厚みは、
中心天体による重力場とコロナのガス圧とがつり合っているものとして決定した。
ガスは等温的な場合と断熱に近い場合とを考えた。
降着円盤風など、垂直方向の運動は無視する。
中心天体の輻射場や、降着円盤による重力やコロナの自己重力は考えない。
ガスが断熱に近いと仮定した場合、上記のような条件下で、
中心天体遠方で角運動量が極く小さいとすると、
シュヴァルツシルト半径の1万倍以上遠方ですでに超音速であると概算される。
コロナガスの落下速度はずっと超音速であり、
降着円盤の輻射場による影響は、落下速度においてはほとんど見られなかった。
一方、降着円盤輻射場からの角運動量のゲインのために、回転速度は、
最終的にケプラー速度の1/10程度にまで増加しうることがわかった。
中心天体の自転が速くなると、
降着円盤の明るさの変化による影響が大きくなる傾向がある。
ガスが等温の場合、臨界点を通過する解が得られた。
音速が小さいほど臨界点は遠方に移動するが、
中心付近では超音速になっているので、
速度場の特徴は、断熱的な場合とそれほど大きな違いはない。