大気減光

1997年度 卒業研究 松浦哲也

星の光が大気中を通り抜ける際には, 空気中の分子や微小粒子による散乱や吸収を受けます. 大気の影響によって星の見かけの明るさが暗くなることを, 大気減光(atmospheric extinction) とか大気吸収といいます.
星の高度が低いほど光路に沿った大気の層が厚くなるので, 大気減光の割合が大きくなり,星の見かけの等級が増加します. 天体の等級は,大気吸収を補正した大気圏外での値で定めます.

(大気圏外で定める)天体の等級を m0, 大気減光を受けた等級を m とすると,大気減光の割合は,

m - m0 = 2.5 a F(z) log10 e = 1.086 a F(z)

のように表されます. ただし,ここで,F(z) は,天頂距離 z を用いて,

F(z) = sed z - 0.0018167(secz - 1)
-0.002875(secz - 1)2
-0.008083(secz - 1)3

と表される量で,空気関数と呼ばれます. また a は,地域や季節や時刻などで変化する 大気の状態に依存する定数で,普通は,

a = 0.2

ぐらいですが,大気の状態が悪いと,大きくなります.

大気減光を受けた夏の星空
大気減光を受けた冬の星空


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