輻射場中でのラザフォード散乱/降着
1997年度 卒業研究 仁尾友美(神戸大学理学部)
卒業論文の抜粋(図入り)
エディントン光度近く/以上の光度で輝いている天体は、
まわりのプラズマガス(通常のプラズマや電子・陽電子対プラズマ)に
強い輻射力を及ぼす。
単位質量あたりの断面積の大きなダストもまた、
輻射場の影響を強く受ける。
天体のエディントン光度 LE
で規格化した天体の光度 L
を Γ = (L/LE とおけば、
輻射圧の影響によって天体の有効重力が (1 - Γ) 倍に
なることはよく知られている(Γ>1 で反発力)。
一方、そのような天体とガスの相対速度が光速に近いときは
(たとえば、超新星爆発で放り出された中性子星や、中性子連星など)、
あるいは、相対速度が小さくてもダストなどに対しては、
輻射場の輻射抵抗が無視できなくなるが、
輻射場中のラザフォード散乱(降着)における輻射抵抗の効果
については調べられていない。
本研究では、
輻射場の強さΓと相対速度 v∞ をパラメータとして、
インパクトパラメータに対する散乱角や散乱断面積(降着半径)を調べた。
輻射圧と輻射抵抗を考慮すると、
ボンディ半径 RB やボンディ降着率も修正を受ける。
たとえば、Γが1に比べてあまり大きくない範囲では、
RB 〜
GM (1-Γ)/v∞2/
[1 - 2Γ/(1 - Γ) * v∞/c]
程度になる。
上の式の分子の丸括弧内は輻射圧で有効重力が減少する効果であり、
分母の角括弧内が輻射抵抗で降着半径が広がる効果である。
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