Introduction

 天体エネルギー現象の1つとして天体への降着流は重要である。質量降着を受けて いる天体は光り輝いている。そのため降着ガスはその輻射場にさらされ、輻射圧を受 ける。特にエデントン光度近く、あるいはエデントン光度以上の光度で光り輝いてい る天体は、まわりのプラズマガス(通常のプラズマや電子・陽子電子対プラズマ)に 強い輻射力を及ぼす。また単位質量当たりの断面積の大きなダストも輻射場の影響を 強く受ける。

 ここで天体のエデントン光度LEで規格化した天体の光度Lを Γ = L/LEとおけば、 輻射圧の影響によって天体の有効重力が(1ーΓ)倍になることはよく知られ ている。

 一方、そのような天体とガスの相対速度が光速に近いとき、例えば、超新星爆発で 放り出された中性子星や中性子連星などの場合、あるいは、相対速度が小さくてもダ ストなどに対しては、輻射場の輻射抵抗が無視できなくなる。

 これまでこのような輻射場のHoyle-Lyottleton降着に対して、中心天体の輻射場の 効果のうち輻射圧までしか考えられていない。従来のガスだけの場合と比べ、輻射流 束だけを考慮した場合、有効重力が減るので降着半径が小さくなる(taam et al.)。 さらに輻射抵抗を考慮した場合、輻射抵抗は相対速度を減らすはたらきをす るため降着半径を大きくする方向にはたらく可能性が大きい。

 本研究では輻射場中の降着における輻射抵抗の効果について数値的に計算し、半 解析的解と比較する。