1997年の8月17日から30日にかけて2週間の期間にわたり, 国際天文学連合IAUの第23回総会が,京都で開催された.
国際天文学連合(International Astronomical Union: IAU) というのは,世界中の天文学研究者によって組織された, 学会の学会のようなもので,宇宙の距離や時刻の約束など, 天文学にかかわるいろいろな取り決めをするために, IAU総会(IAU General Assembly)が3年ごとに開かれている. また総会に合わせて, さまざまなテーマでIAUシンポジウム(IAU Symposium)と呼ばれる 国際会議が同時並行開催され, 今回も,前半の1週間で3つ,後半の1週間で3つ, 併せて6つのシンポジウムが開催された. IAUシンポジウムが一つだけでも大きな国際会議なのに, それがいくつも同時開催されるというというのは, いわば何種目もの国際競技会が同時開催されるような感じで, まさに天文学のオリンピックと呼ばれる所以である.
しかも日本はIAUのメンバーとしての歴史が長い方であるにもかかわらず, IAU総会が日本で開催されるのは実は今回がはじめてであり, 日本の天文学のコミュニティーにとっては画期的な出来事だった. かてて加えて,今回のIAU総会は, 1997年に日本で開催される国際会議のうちで最大のものであり, 天皇ご夫妻も臨席するという“事件”まで起こってしまった. お祭り好き,事件好きの人間にとっては, 始まる前からワクワクドキドキものである.
今回のIAU総会の会場となった
国立京都国際会館
(Kyoto International Conference Hall: KICH)は,
京都市北部の宝が池という場所にある施設で,
大きな国際会議がしばしば開かれている.
会場はきれいで設備もよく,またまわりは風光明媚な場所だが,
会場費がべらぼうに高いのが難点だ.
(『ウルトラ警備隊西へ行く』で,
ウルトラセブンとキングジョーが闘った場所だと思うんだけど….
ちょっと自信がない)
京都で開催される国際会議ではたまに行ったことがあるが,
メインの建物以外に,最近,川を挟んで,
体育館のようなイベントホールができていた.
また反対側にも別館のような建物が増築中であった.
なかなか盛況なことである.
総会やシンポジウムやその他の小さな会議は,
国際会館内の大小さまざまな会議室で開かれ,
隣接するイベントホールでは,
何百ものポスター発表が行なわれる.
またイベントホールには,休憩コーナーや,電子メール用の端末コーナー,
そしてIAU総会に協賛するいくつもの企業などの出展展示も行われていた.
IAU総会&シンポジウムの参加者は,
あちこちの適当な会議室を選んで好みの講演を聴いて回ったり,
イベントホールに掲示されている多数のポスターを見て回ったり,
出典ブースを冷やかしたり,あちこちの休憩コーナーで議論したりして,
昼間を過ごすのである.
(夜の過ごし方は,人さまざま.)
日本の受け入れ側としては,研究者の数も多く受け入れ上便利な
東京近辺で開きたかったのだが,外国人は京都に来たがるわけで,
IAUトップの強い主張で京都開催が決まったらしい.
経緯はともかく,京都在住の身としては,
IAU総会が京都で開かれたのは,この上なくありがたいことだった.