車に乗ってて,初めて事故を経験した. シャレになんないんで,とりあえず書いとくけど, 自分の方も相手の方も誰もケガはなかった. よく車には乗せてもらうので,いずれ経験するだろうと思ってたけど, まぁ,事故としては比較的ベストな方だったようで.

以下,大衆週刊誌風ドキュメント:

さる5月6日から7日にかけて, 埼玉県和光市の理化学研究所で, 活動銀河に関するX線天文衛星あすかの成果研究会が開催されていた. この研究会に,在阪の某教育大学からは, 助教授F氏と大学院生のAさん,Hくん,Mくんが, また在京の某大学からも, 大学院生のMくん(通称,萬ちゃん)などが参加していた.

さて,研究会初日は,全員,研究発表をみっちり聞いて, なれない経験に少し疲れがたまっていたらしい. さらにその夜は,和光市の駅前の居酒屋で, 筑波地方の某大学のU氏や東北地方の某大学のT氏,Y氏そして 多数の学生と共に, チェックインや終電ぎりぎりまで呑んでいたという. 当事者の萬ちゃんは,前夜,京都から和光まで車を転がしてきた上に, 初日は研究発表もあり,かなり疲れていたらしい. しかもオサケが弱いにもかかわらず,Aさんから注がれるまま 梅酒ロックをぐいぐいやっていた(本人が注げといった噂もある). ま,過程はどうあれ,結果的にはしっかり潰れてしまい, HくんとMくんに抱きかかえれてトイレにかつぎ込まれる光景を 目撃されている.

さて運命の日は,研究会2日目にやってきた. 午前中の発表はしっかり聞いていたのだが (何人かは舟を漕いでいたという話もある), さすがに疲れもたまってきたので, 午後は少しゆっくりしようか,などと考えていた. 昼時になり,昼寝を希望していた萬ちゃんの車に, 悪運を抱えたF,A,H,Mの4人がどかどかと乗り込み, 理化学研究所そばのファミレスに食事をしに行った. ちなみにこのときF氏は,ザルソバと鰯?の空揚げを食したという.
食事をしている最中,萬ちゃんが異様にハイなことに, 皆は異変を感じるべきだったかもしれない. アルコールなど一滴も入っていないのに, 酒の席でも言えないようなことを 立て続けにしゃべりまくっていたのだ.
そして食事も終わり,午後はぶっちしようかということになって, 人のいい萬ちゃんが4人を駅まで送ってくれることになった (一部に,駅まで送れとF氏が強要したという噂が立っているが, これは,まったく根も葉もないデマらしい).

何分にも勝手の分からない土地で,しかも前夜は酒に潰れ, その前夜は徹夜で転がし,さらに後日判明したことだが, 連休中には3000kmも走っていたという, 事故を起こすには申し分ない条件が整っていた. そして………

その瞬間は混乱していて関係者の証言も一人ひとり異なるのだが, 和光駅へ向かうために3車線の道路の真ん中の車線を走っているとき,
“あ,駅は左や”
左の車線へハンドルを切る萬ちゃん
“車が来てるぅ!”と誰かゆっくり言ったような気がしたが時すでに遅し

ボン

気づいたときには,車の左前が相手の車の右サイドを擦っていた.

さて,接触後,すぐ脇道に車を寄せ,自分方や相手方を確かめたが, 誰もどこもケガしていなかったのは,不幸中の幸いである. また相手はごくふつうのおぜうさんで, 黒メガネのいかつい方でなく,ほんとよかった. 萬ちゃんも相手も,事故は初めて同士だったが, そこは事故プロのAさんがいて,全体を仕切ってくれたので, 事故処理相談はスムーズに進んだようだ. 実際,同性ということもあり,Aさんは相手のおぜうさんと 仲良く話をして,なごやかな雰囲気を作ってくれた. 警察が来るまでかなり時間がかかったのだが, 缶ジュースなどを飲みながら, 事故の当事者同士が和気あいあい談笑しているという, 事故後の光景してはなかなか珍しい状況が展開したようだ. また,おっとり刀で駆けつけた警察官も,まさに“おまわりさん”という 言葉がぴったりの人で,大変ありがたかったものである (関係者一同,和光が好きになったそうだ).

ところで,関係者の証言によると, F氏は,助手席でナビをさぼっていた不届きモンにもかかわらず, 事故は初めやねん,とか,なんでエアバッグ開かへんねん, とか訳のわかんないことを言いながら, 一部始終をワクワクドキドキ見ていたらしい. しかし,実は一番危なかったのは助手席に乗っていた自分だ, という事実がF氏にはよく飲み込めていないようだ. また別の関係者の証言によると, 事故調書を書きに駅前の派出所まで行ったとき, 先導するパトカーに乗りたいと言った人間もいるそうだ. 大阪(ナイズした)人間は侮れない!?

その後,壊れたウィンカまわりの応急修理をして, 萬ちゃんは,何とか京都まで生きて帰れたという. 関係者全員にとっても, なかなか,ドキワク体験のスリリングな一日であった.


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