大腸X線検査の日
−注腸検査のすべて−

ふふふふふ.今日はなんと“注腸検査”というものを体験してきた. そう,一週間ほど前に,“けつべん”が出たこともあり, 今日,かかりつけのお医者さんで検査したのである. “美人のひろみせんせ”の旦那さんが胃腸の専門医で, 今日が担当日なのである.

ところで,腸の検査は案外と大変である. 胃の透視(バリウム検査)は,何度かしたことあるが, 朝から絶食する程度でいいけど, 腸の場合は前日から準備が必要なのだ.

まず,前の日は(腸内に残さの残りにくい) 検査食というものしか食べられない. そのメニューはというと,

朝食昼食 間食夕食
白がゆ
ふりかけ
みそ汁
玉子がゆ
すまし汁
ゆでうどん
ラスク3枚
ゼリー2個
キャンディ3個
ポタージュスープ
悲しい.

さて,前日の25日,いつも朝昼兼用なので, 11時ごろに昼食の玉子がゆを食べる. この玉子がゆは.レトルトにしては,まぁまぁだった. しかし,(ぼくが)いくら食が細いと言っても,さすがに足らないので, 2時ごろに朝食の白がゆを半分ぐらい食べる. この白がゆもまぁまぁ. …もう,ここらへんで,順番無視している. つぎに3時過ぎに間食のうどんを食べるが,こいつがいけない, 腸じゃなくて超マズイ!! 無理矢理飲み込んだ. そしてゼリーとかキャンディーとかで誤魔化しながら, 7時過ぎに,最後の晩餐のポタージュスープである. このポタージュは美味しかった(腹が減ってたせい?). これらの食事と同時に, 必ずコップ2杯分以上の水分を取らなければならない.

前日の準備は検査食で終わりじゃない. 夜の9時に,レモン水のような酸っぱい味のする不思議な液体を, コップに軽く一杯分ぐらい飲んだ. これの役目はよくわからんかった. 最後は10時に,液状の下剤と思われるものを, コップ一杯の水に薄めて飲む. いやぁ,この下剤は,よく効いた; それでなくても下痢気味なので,適度に斟酌して, 半分ぐらいしか飲まなかったのだが, それでも超絶威力. ←しかし医者の指示を結構ムシしている性悪患者の典型例である.

いよいよ検査当日(26日). 検査は8時からだが, まず朝の7時に,コップ2杯以上の水分を摂取した後, 坐薬(下剤)で腸内をキレイに出し切らなければならない. 下剤も大変だが,7時起床というのが最大最高にキツカッタ. それでも,大学病院とかの検査だとこんなもんじゃ済まないので (いわゆる3時間待ち5分診察とかいうヤツ), 歩いて数分の距離にレントゲン設備の整ったお医者さんがあるのに, 感謝感謝.

このお医者さんは,診察は9時からだが, 胃透視のような検査は診察前に済ませる段取りになっていて, 8時きっかりに医院に着くと, 待合室には(9時からの診察の)順番待ちの人がすでに数人. みんな,朝が早いおじいさんやおばあさんたちばかりである. おばあさんが,「あ,そこの(順番)カード取ったらよろしおま.」 と言ってくれはったが,「はい,検査なもんで,どうも.」 とか何とかヘラヘラ答えて,席に着く. 待つことほどなく,検査室に通されて,襦袢のような検査着に着替え, 胃の蠕動を抑える注射を一本打たれて,すぐに検査開始である.

腸のレントゲン検査だから,当然, 腸内に造影剤(バリウム)を入れる. バリウムはどう入れるのかなと思っていたが, 胃の場合は上から飲むけど,考えたら当たり前というか, 腸の場合は下から入れるわな,そりゃ. 検査台の上に横になってバリウムを注入されるのだが, やはりあまりウレシクないなぁ. でも,オッサンのケツを触っている先生の方は, もっともっとウレシクないだろう. バリウムを入れた後に,腸の奥にバリウムを押し込むためだろうか, 空気も注入される(胃透視のときには,胃を膨らませる膨張剤を飲む). これは腸がパンパンに張って,なかなか苦しいものがあった. そして,回ったり傾いたりギコギコ動く検査台の上で, こっちも右向いたり左向いたり俯せたり仰向けになったりしながら, あちこちの方向からレントゲン写真を撮影するのである. ここらへんは,さすがに専門医なので,手際よくやってもらえた.

検査自体は小一時間ほどで終わり,ふたたび待合室に出ると, 診察開始時間も近づき、もう10人以上患者さんが来ている (薬や点滴だけの人も多い). 大学病院だと,検査結果が出るのは一週間後とかになるが (これはたまらん), 待つことほどなく(これがいい) 写真の現像ができあがって診察室に呼ばれる (その間にも患者さんを一人二人さばいている), で,ここが直腸です,ここがS字結腸です, ここが大腸と小腸のつながっている部分で…などなど, 一枚一枚写真を見せながら,“病状”の説明を受けた. で,まぁ,結論はと言えば,

「ポリープとか潰瘍はないみたいだし, とくに問題はないようですね.」

“けつべん”自体は1日で止まっていたし, 暴飲暴食という直接原因もはっきりしてたので, あまり大したことはないだろうと予想していたものの, やっぱり,ひとまず安心した. でも,検査をしながらも言われたことなのだが,

「腸(のここらへんに)にキンチョーがありますね.」 (別にシャレじゃないが)

とも言われた. たしかに,夏以来,とくにいろいろとストレスが多く, 思い当たるフシが多々ある. それらが(飲みすぎなどとも重なって) 腸炎の原因にもなっているらしい. それらの原因は,自分では(もちろん)わかっているので, 複合的に重なって体調を崩すモトになっているのは想像していたが, でも,腸のレントゲン写真を診ただけで, 先生にそこまで(緊張まで)見破られてしまい, これにはビックリした. さすがに専門家である.

「ストレスは避けるようにした方がいいですね.」

とも言われたが,こればかりは,ははは. 避けられるストレスはできるだけ避けているけど, 向こうからぶつかってくるストレスも結構あるからなぁ. そいつは避けようがない(^^;

さてさて検査自体は事なきを得た上に,予想外の収穫もあった. ちょうど,粟野諭美クンが昨年の修士論文で製作した 天文教育用マルチメディアソフト 『宇宙スペクトル博物館』の続編として, X線で観た宇宙像を紹介するソフトを作っている最中である. 身近なX線としてレントゲン写真が欲しいと思っていたので, 今回撮影した腸のX線写真を借りれないか尋ねたら, 快く貸していただけた. こういう写真は3年間保存することになっているらしく, スキャナで取り込んだら返さないといけないのだが, 逆に言えば,数年前に胃透視をしたときの写真も残っていて, そちらも貸してもらうことができた. なんと胃と腸のX線写真がいっぺんに揃ってしまったのだ. ラッキ!

何だか,災い転じて福となす,に近い感じ.
ちょっとだけ嬉しい年の暮れになった.