名古屋市科学館へ講演に
(2004/07/22)

名古屋市科学館の天文クラブ例会の天文講演会へ行ってきた。 内容は定番のブラックホールの話である。 たいていは京都や大阪近辺しか行ったことがなかったが、今回は、 『天文教育』誌でお世話になっている科学館の鈴木雅夫さんに頼まれて、 珍しく、名古屋までの遠出となった。

天文講演会なんていうものは、週末の午後あたりが定番かと思っていたら、 平日(木曜日)の夜にあるという。 名古屋市科学館は熱心なファンも多く、夜でも人が集まるらしい。

夕刻、名古屋に着いた。 科学館は地下鉄で一駅ということだったが、 名古屋大学には春の学会でも来たが、 科学館は10年ぶりぐらいで、やや不案内である。 また今週は、月曜日に暑い中オープンキャンパスがあり、 火曜日も京大関係の行事(呑み会;;)があった上、 水曜日の午後は会議が2つ連荘で6時間もあって、 完全に夏ばて状態だったので、迷わず、タクシー乗り場へ向かう。
で、タクシーの運転手さんに「名古屋市科学館にお願いします」。 運転手「“でんき”の科学館ですな」。 「えっ! 科学館っていくつもあるんですか?」 「いや“一つ”しかないです。伏見のところのでしょ」 (たしかに名古屋市科学館の最寄り駅は地下鉄伏見駅だ) 「プラネタリウムがあるところですね」 「はいはい」 「じゃぁ、そこだと思います」
ちゅう具合に走り出した。ひとかけらの不安。
「科学館にはよく来られるんですか」 「いやぁ、10年ぶりぐらいなんで、まったく忘れてしまって」 「へぇ、じゃぁ、科学館ができたてのころですね」 (えっ! 名古屋市科学館ってそんなに新しくないよな。 生命館を増築したあたりの話かなぁ)
かなりの不安。
まわりをキョロキョロ見回していたら。 「あ、あの茶色いビルの向こう側ですわ」 通りの地名をみると、たしかに伏見あたりには違いない。 「はい、“でんき”の科学館はここです」 と降ろされたのは、なんやら真新しいビルの前。 うーん、名古屋市科学館ってこんなに小さかったっけ、 ひょっとしたら裏口あたりなんかなぁ。 もー、どうしようもないので、そのビルに入っていき、 ガードマン風の人に、 「あのー、ここ、名古屋市科学館じゃないですよねぇ」 「はい、違います」
くっそー! 名古屋の運転手ええかげん!!
結局、その人に道を尋ねて、テクテク5分ほどあるいて、 ようよう“名古屋市”科学館に辿り着いた。 少し早めに動いていたので、予定していた6時ちょうどぐらいには、 なんとか科学館の入り口をくぐることができたが、 タクシー乗った意味がなくなっていた。 ますますヘロヘロになって、科学館の写真を撮るのも忘れていた。

入り口で待っていた鈴木さんに案内されて、天文ドームへ。 名古屋市科学館の講演会はプラネタリウム室で行うらしい。 ドームの中なので、聴衆の顔がほとんど見えないが、 ある意味で上がらないで済むのでありがたい一方、 様子がわからないので話しづらい面もある。 参加者は後で300人ぐらいだったと聞いたが、 その割には、名古屋の人はお行儀がよくて、 講演中はすごく静かだった。 一方で、講演後は質問が相次いで、非常に熱心である。 驚いたのは、質問の中身がかなり詳しく、また 講演テーマのブラックホールに関する質問ばかりあったことだ。
というのは、ふつうは、ブラックホールに関する講演をしても、 質問時間では、(ブラックホールに関する質問以外にも) “宇宙のはじまりは”とか、“宇宙人はいるのですか”といった 質問が必ずある。 それはそれで構わないので、ぼくも、質問を受けるときにはいつも、 “宇宙に関する他の質問でもかまいませんよ”と一言添えるのだが、 今回はそのようなテーマ以外の質問が出なかったのに、 後になってから気づいた。 参加者が、天文クラブという練度の高い集団だったためか、 名古屋市科学館における天文活動がしっかり根付いているためか、 いずれにせよ、なかなか面白い現象だった。

6時半から8時までの講演をだいぶ超過して、 科学館を後にしたのは8時半ぐらいだった。 ふたたび駅までタクシーに乗る。 さすがに名古屋駅には間違いなく連れて行ってくれたが、 道が混んでいたためだろうが、新幹線口のかなり手前で、 「すぐそこですから」と降ろされた。 表口から歩いた方が近かったぞ!

帰りはのぞみに乗ったけど、行きのひかりと比べて、 京都名古屋間だと200円しか違わない。 のぞみも安くなったもんだ。 あれ、ひかりが高くなったのかな。 8時半に科学館を出て家に着いたのはほぼ10時、 その間、1時間半。 お金は別として、大学よりも近かった。