第6回自然科学研究機構シンポジウム
宇宙究極の謎
暗黒物質、暗黒エネルギー、暗黒時代
@東京国際フォーラム
(2008/09/23)

自然科学研究機構シンポジウム 「宇宙究極の謎−暗黒物質、暗黒エネルギー、暗黒時代」 というものへ行ってきた。 自然科学研究機構が開催している公開シンポジウムで、 立花隆さんがプログラムコーディネーターをして、 自然科学のいろいろな分野の最前線の話を一般向けに紹介するシンポジウム、らしい。 今回が6回目だそうだが、丸ごと宇宙関係というのは、今回がはじめてである。
シンポジウムが開催されるのは東京で10時開始である。 新幹線は速くなったとはいえ、開始時間に間に合うには、 京都からだと朝7時前の新幹線の乗らないといけない。 しかし当日に行けるだろうということで、 理由なしの前泊が認められないのが昨今である。 なかなか非人間的な措置である。 朝も早よから5時に起きて6時にはタクシーに乗り、 東山連峰に朝日が昇るのを観ながら、京都駅へ向かった。 まぁ、清々しい朝ではあった。
まるまる2時間、仕事に集中できるので、 最近は新幹線の移動書斎がなかなか癖になっている。 電源がある新型車両の窓際を指定して、 ホームで待っていると、後ろから、 人妻らしき人間に声をかけられた。 そばに旦那らしき人物がいるのに、 朝っぱらからナンパはないだろうと思ってよく見ると、 卒業生のあべまいこである。ウォー、奇遇じゃ。
さて、十分に早く出たので9時過ぎには、 会場の有楽町そば東京国際フォーラムに着いた。 いやまぁ、なんとデカイ複合ビルができている。 開場の9時半少し前にホールまで来ると、もう長蛇の列だ(驚)。 数分のことだから仕方なしに並んだ。 知り合いを探すがさすがに研究者はいない。 と思うまもなく、古在由秀さんが出現。 そうか、古在さんでも並ぶのか。
会場は1000人ぐらいは入れそうな広い部屋である。 実際、整理番号も10000まであったし。 もっとも、休憩時間に椅子を数えたら、35×16で、およそ600席、 かなり満杯に埋まっている感である(写真は、開演前)。 知り合いはいないかと眺めていたら、SF作家の林譲治さんと会った。 また昼休みの終わりには、卒業生の山田竜也と会った。 でも、ほとんどは、一般の人、それも年配の人が多い。 サラリーマンっぽいのとか学生っぽいのはチラホラ、 顔見知りの研究者やアベックは皆無(そりゃそうだ)。

まぁ、一応は、講演者や一般の人に遠慮して、ど真ん中には座らずに、 講演者席から遠い端っこの進行係席前に陣取った。 したらば、目の前に立花隆さんだ。 そっか、立花さんは司会席なんだ。ちょっとラッキー。 もともと前の方に座ったのはコンセントがあるかなと思ったためもあるが、 残念ながら、係の人に聞いても、コンセントはないらしい。 まぁ、新幹線で電源使ってたから3時間ぐらいはもつだろう。

機構長の挨拶に続いて、 立花隆さんが趣旨説明。
時間節約のために、 講演者の紹介はしない、のはOK。 質問は質問票で行い、会場では質問を取らない。 これも時間の節約のため、とは言われたが、 半分は変な質問を封じ込めるためだな(笑)。 なんだぁ、いろいろ質問してやろうと思ってたのに。

以下は、途中のメモだ。

BA:4% DM:23% DE:73%

DMは非常に遅く重い粒子(戸塚)
量子力学を超えた新しいパラダイム(戸塚)

さて、シンポジウム本編は、ずいぶんと多くの人が講演した。

「宇宙3つの暗黒問題」杉山 直

30分でオーバービュー
杉山さんも講演しまくりだという話を聞いたことがあるが、 さすがに淀みなく流暢で話慣れた感じだ。 全体の概観なので内容は知っているものばかりだったが、 講演のスタイルはなかなか勉強になる。

COBE:2.725K

いまごろは、研究会などだと、会場中にノートパソコンのモニタが光るが、 この会場では見あたらない。でも、熱心な人は、暗い中でメモを取っている。 あれあれ、立花さんも暗い司会席でメモを取ってるぞ。

「宇宙暗黒時代の夜明け」家 正則

“一番星、見つけた”いきなり歌い出す家さん。はぁ、大変だなぁ。 最遠の銀河IOK-1の発見の話。 ちょっとわがままなので、自分たちのイニシャルを付けたそうだ。 補償光学の威力。 これでも業界に長いので、補償光学もレーザー光による人工の星も知っていたけど、 ナトリウム層での人工の星の写真ははじめて見た。 まぁ、たしかにこんなのは学会では見せないなぁ。

「暗黒時代の終わりを告げる宇宙最初の星」吉田直紀

ファーストスター、宇宙最初の星のシミュレーション、 吉田さんって、こんな人だったんだ。 イヤ実は、シミュレーションの結果は、本で使わせてもらったことがあるんだが。 謝々

100万太陽質量、6000万天文単位
の暗黒物質の塊
その中心部
300太陽質量、100万天文単位
その中心部
水素分子、10天文単位
その中心部
高温高密度の核:0.01太陽質量、0.1天文単位(500万km)、密度0.01、10000K
誕生直後の原始星の“種”
降着+収縮
60-100太陽質量に

電離
超新星爆発

午後は、

「宇宙大規模構造の形成と銀河の形成」児玉忠恭

「重力レンズで探る暗黒宇宙」二間瀬敏史

「天体の明るさで測る暗黒エネルギー」土居 守

「宇宙の超精密地図から探る暗黒エネルギー」戸谷友則

「暗黒物質の正体は」中畑雅行

「暗黒宇宙の謎に迫るすばる望遠鏡」林 正彦

「パネルディスカッション:宇宙究極の謎」立花 隆、観山正見、須藤 靖

TENNETにアナウンスが流れたぐらいだったので、 もう少し突っ込んだ話が聞けるかと期待していたが、 ちょっと期待はずれだった。 ごく一般向けにはちょうどいいレベルかもしれないけど、 理科系の教員や研究者では少し物足りないだろう (超新星の炙り出し方とか、そこまでやるんだ、など面白い話もあったが)。 でもなぜか、アンケートの職業欄のトップに研究者がある(笑)。 研究者は来ないだろうなぁ。 でも一般の人はとても関心があるみたいで、 午後、少しロビーで仕事していて、ホールへ戻ったら、 空いた椅子がほとんどなくなっていた。 最後の部分は切り上げて、ホテルで仕事しよう。
…ここで午後はショッピングとかシティライフとならない点が、 性とはいえ残念ではある(悲)。