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曜日の順序と惑星の並びの関係

カレンダーで使われている7つの曜日は太陽系の惑星と対応していますが,その曜日の順序である,

日・月・火・水・木・金・土

は実際の惑星 (この場合,太陽と月を含み地球は含まない天動説にもとづく7惑星) の並び方とは全く無関係になっています.曜日の順序がこうなっている理由は,実はいまだに不明です.そのような中で,数少ない手がかりのひとつであるローマ時代のカシウス・ディオの著作『Historia Romana』にある一説によると,かつて曜日の概念が成立した際の規則では,1日を24等分し,1時間毎に7つの惑星を繰り返し当てはめました.その順番は当時の天動説的世界観にもとづいた「地球から遠い順」に,

土星 → 木星 → 火星 → 太陽 → 金星 → 水星 → 月

としました.そして1日の最初の1時間に当てはめられた惑星がその日を支配すると考えました.1日目の最初の1時間は土星なのでこの日は土曜日,翌日の最初の1時間は太陽なので2日目は日曜日となります (下記の表).同様に考えると,3日目以降の最初の1時間は月,火星,水星,木星,金星となり,その次は再び土星へ戻り,その後も同じパターンが繰り返されます.これで,土曜から始まり7日間で繰り返される曜日の順序ができあがります.ということは,もともと1週間の初まりは土曜だったのでしょうか.ちなみに現在のカレンダーの1週間が「日曜始まり土曜終わり」か「月曜始まり日曜終わり」かについては文化による違いなどがあり明確な決まりはないようです (たとえばドイツ語では週の始まりは日曜日であることが明確です).

0:00〜最初の1時間 1:00〜 2:00〜 3:00〜 4:00〜 5:00〜 6:00〜 7:00〜 8:00〜 9:00〜 …… 21:00〜 22:00〜 23:00〜24:00 (0:00)
1日目 土星 (の日 = 土曜日) 木星 火星 太陽 金星 水星 土星 木星 火星 …… 土星 木星 火星 (翌日は太陽から)
2日目 太陽 (の日 = 日曜日) 金星 水星 土星 木星 火星 太陽 金星 水星 …… 太陽 金星 水星 (翌日は月から)
3日目  月 (の日 = 月曜日) 土星 木星 火星 太陽 金星 水星 土星 木星 …… 土星 木星 (翌日は火星から)
4日目 火星 (の日 = 火曜日) 太陽 金星 水星 土星 木星 火星 太陽 金星 …… 火星 太陽 金星 (翌日は水星から)
5日目 水星 (の日 = 水曜日) 土星 木星 火星 太陽 金星 水星 土星 …… 水星 土星 (翌日は木星から)
6日目 木星 (の日 = 木曜日) 火星 太陽 金星 水星 土星 木星 火星 太陽 …… 木星 火星 太陽 (翌日は金星から)
7日目 金星 (の日 = 金曜日) 水星 土星 木星 火星 太陽 金星 水星 …… 金星 水星 月 (翌日は土星から)
8日目 土星 (の日 = 土曜日) 以降,同じパターンの繰り返し

松本 桂 (大阪教育大学 天文学研究室)