[天文学の小ネタ集へ戻る]

よくある誤解
流れ星が光る理由

流星 (いわゆる流れ星) とは、宇宙空間をただよう砂粒や岩石などが地球の大気圏へ突入する際に光りかがやく現象です。高度100km付近で光り燃え尽きるまでおよそ1秒程度、その間に数十kmくらい飛ぶので細い光の線として見えます。

流星が光る理由は、突入体が高温に熱せられるためですが、その原因を「大気との摩擦熱」とする誤解が存在するようです。流星は秒速数十km (時速数万km) で進むため、大気の分子と激しく衝突したり、前面の空気が急激に圧縮されることによる断熱圧縮というしくみで加熱され、プラズマ化することで光ります。大気との摩擦で光っているわけではありません。

特に明るい流星は火球と呼ばれ、突入体が燃え尽きずに隕石として地表まで落下することがあります。なお地球全体では年間5000トン程度の流星物質が降りそそいでいます (地表に到達するような隕石は年間10トン未満です)。

(さらに余談) Google で「隕石」と検索すると……隕石が落ちてきます。○○隕石といった個別の名前でもいけるみたいです。

なお流星は、決まった時期に特定の方向 (輻射点) から出現する群流星 (流星群に属する流星) と、年間を通して時期も方向もランダムに出現する散在流星 (流星群に属さない流星) に分けられます。流星群は、輻射点が位置する星座にもとづいて名前が付けられ、出現数の規模や極大期がいつ頃になるかは毎年ほぼ決まっていますので、各流星群の極大期には流れ星を目撃できる可能性が比較的高くなります。毎年安定して多くの流星が出現する「しぶんぎ座流星群 (1月4日頃)」「ペルセウス座流星群 (8月13日頃)」「ふたご座流星群 (12月14日頃)」は年間の三大流星群と呼ばれます。また通常はパっとしませんが33年ごとに大出現する「しし座流星群 (11月18日頃)」のように流星物質の元となる彗星の公転周期によって出現数が増大する流星群もあります。

松本 桂 (大阪教育大学 天文学研究室)