電磁波スペクトル(Electromagnetic Wave)

ラジオの信号を運ぶ電波や身体を透視するX線など光の仲間を総称して, 電磁波(electromagnetic wave)と呼びます. 目に見える可視光線(optical light)も電磁波の一種です.

波の波長と振動数
電磁波の伝播


ガンマ線: 電磁波スペクトルの中で,もっともエネルギーの高い領域を, ガンマ線(γ線)と呼びます.
1896年にウラニウムの放射能(物質から放射線が出てくる現象)として, ベクレル(A.H. Becquerel)が発見しました. 名前は,放射線が謎だった当時に, 発見された放射線を順番に, アルファ線(ヘリウムの原子核),ベータ線(電子), ガンマ線(高エネルギーの光子)と名づけたことに由来します. ガンマ線は,1900年に, X線よりエネルギーの高い電磁波であることがわかりました.
ガンマ線はガン治療や品種改良などにも使われます.
X線: ドイツの物理学者レントゲン(W.K. Roentgen)は, 1885年,陰極管(真空管)の実験をしているときに, そばに置いてある蛍光紙(シアン化白金バリウムを塗った紙)が, 緑色に光っていることに気づきました (1901年に第1回ノーベル物理学賞受賞). 陰極線(電子線)の当たる陽極から強い放射線が出ていることが, 原因だと突きとめ, レントゲンは,未知を表すXから, この不思議な光線をX線(X-rays)と名づけました. その後,X線は電磁波の一種であることがわかり, X(未知)ではなくなったのですが,相変わらず,X線と呼ばれています.
X線は,医療用その他,いろいろな利用がされています.
紫外線: 400nmぐらいから10nmぐらいまでの波長の電磁波を紫外線(UV)と呼びます. また,紫外線は,波長によって, 400nmから320nmぐらいまでのUVA, 320nmから290nmぐらいまでのUVB, 290nmから190nmぐらいまでのUVC にわけられます(波長は目安です). 紫外線は目には見えません. 化学作用を起こすので化学線と呼ばれることもあります.
殺菌灯その他,いろいろに利用されています.
紫外線は,塩化銀の発光現象から, 1801年にリッター(J.W. Ritter)が発見しました.
可視光線: ご存じ,目に見える光のことです. 電磁波の中で,目に見える光を,可視光とか可視光線と呼びます.
1666年にニュートン(I. Newton)がプリズムを用いて, 太陽光線を分散させ光のスペクトルを見出しました.
赤外線: 波長が1mm以下でだいたい0.77μm以上の電磁波を赤外線(IR)と呼びます. 赤外線は(人の)目には見えません. 熱い物体から放射されるので,熱線と呼ばれることもあります.
農業,工業,医療,家庭,通信,資源探査,気象観測など, 赤外線はさまざまな分野で利用されています.
1800年にハーシェル(F.W. Herschel)が, 目に見えないのに温度計の温度が上昇することから, 赤外線に気づきました.
電波: 波長10km以上を超長波, 1kmから10kmを長波, 100mから1kmを中波, 10mから100mを短波, 1mから10mのものを超短波, 1cmから1mをセンチ波, 1mmから1cmをミリ波, そして0.1mmから1mmの波長の電磁波をサブミリ波と呼びます.
ラジオ,FM放送,テレビ,衛星放送など, 日常の生活では,さまざまな波長の電波が利用されています. また電子レンジでは波長15cm(2GHz)程度のマイクロ波を発生して, 水分子を加熱しています. レーダーや衛星通信などでもマイクロ波が使われます.
電磁波は, 1864年にマクスウェル(J.C. Maxwell)が完成した 「マクスウェルの電磁理論」によって予言されていましたが, 1888年になってヘルツ(H.R. Hertz)がはじめて電波の存在を立証しました.


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