色相・明度・彩度(Hue, Value, Chroma)

一口に色といっても,自分で光っている物体(光源)の色と, 光に照らされた物体の色とでは, 色が付くしくみも色自体も違います. 人間の目や頭での色の認識も, 色彩感覚の個人差があり微妙です. そのため色を完全に表現するのは非常に困難で, さまざまな方法が提案されてきました. 現在使われている標準的な方法には, 色立体(修正マンセル表色系)や 色度図(CIE-XYZ表色系)などがあります.

3属性

色には,色味を表す色相H ,明るさを表す明度V , そして鮮やかさを表す彩度C という,3つの属性があります.
また赤青緑などのように色味をもつ色を有彩色, 白灰黒などのように色味がないものを無彩色といいます.

色相環 色相H (hue)は色味を表すもので, 赤(R),黄赤(YR),黄(Y),黄緑(YG),緑(G), 青緑(BG),青(B),青紫(PB),紫(P),赤紫(RP)を10主要色相とし, さらに各色相は1から10まで10段階に細分されています (各色相の中央の値を5とします).
主要色相や中間色を円環状に配置したものを色相環(color circle)と呼びます.
明度 明度V (value)は色の明るさや暗さを表すもので, 真黒(明度0)から真白(明度10)まで11段階で表現します.
無彩色(achromatic color)の属性は明度だけです. 有彩色の場合はすべての明度段階があるとは限りません. たとえば,明度が0の色は真黒だけだし, 明度が10の色は真白だけです.

ちなみに,バリュー(value)は画家用語で「明るさ」を意味します.

彩度 彩度C (chroma)は色の鮮やかさ(純度)を表すもので, 無彩色(彩度0=N)から鮮やかになるにしたがい彩度が高くなります. 彩度段階を決めた初期には10段階にしていたのですが, その後,より鮮やかな色が作られるようになって, 現在では10より大きな彩度があるのです.
一つの色は,以上の3つの属性を使って,

HV /C

のように表示されます. たとえば,5R6/4は,色相H は赤Rの中央(5)で, 明度V が6,彩度C が4の色です.

色票 色票(color chart)は, ある色相の色について,縦軸を明度,横軸を彩度として色を並べたものです.

赤の色票
黄の色票
緑の色票
青の色票
紫の色票

色立体
色立体

色相H ,明度V ,彩度C にもとづいて色を表現する方法を, 修正マンセル表色系といいます. マンセル表色系の色票,すなわち 各色相ごとに明度と彩度の違う色を平面的に表したものを マンセル色票と呼びます. さらに色票を色相環の順に立体的に配置したものが, マンセル色立体です.

マンセル表色系は, もともとは美術教育家であったマンセル(A.H. Munsell)が1905年に考案したもので, それにもとづいて, 色票集"Atlas of the Munsell Color System"(1915年)や "Munsell Book of Color"(1929年)を発行しました. その後さまざまな修正が加えられ,現在は広く世界的に利用されています. 具体的には,アメリカ光学会が科学的な考察をもとに修正を加え, 1943年,修正マンセル表色系として定め, 1957年に光沢版の色票を発行しました. 日本では,日本工業規格JISが1958年に修正マンセル表色系を採択し, 標準色票としました.


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