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はくちょう座X-1(Cyg X-1)は,最初に発見されたブラックホール天体です. はくちょう座X-1は, O9型の超巨星HDE226868(図中の▲印で挟まれた星) とブラックホールからなる,公転周期5.6日の近接連星です. 超巨星の質量は約30太陽質量で, ブラックホールの質量は10太陽質量程度だと見積もられています. |
V1357Cyg / HD226868 赤経 19h56m 赤緯 +35°04′ V等級=9等/HD226868 軌道周期 5.6日 ブラックホールの質量 > 9.5太陽質量 上:はくちょう座X-1(大阪教育大学) |
可視光天体(伴星) | O9.7Iab/V=9 |
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距離 | 約2.5kpc |
連星周期 | 5.6017日 |
視線速度振幅 | 約75.0 km/s |
質量関数 | 約0.241太陽質量 |
軌道傾斜角 | 約27° |
離心率 | 0.1未満 |
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はくちょう座X-1は,
太陽の約30倍の質量をもつ青色超巨星(青い方)と,
太陽の約10倍の質量のブラックホール+周辺のガス降着円盤(赤い方)が,
共通重心のまわりを5.6日の周期で公転しています.
相手の星を隠す食現象は観測されておらず,
軌道傾斜角(連星の公転面に垂直な方向と視線のなす角)は,
約30°程度だと推定されています.
またスペクトル線の解析などから,
連星の公転周期などが見積もられました. 降着円盤は周辺部では温度が低いのですが, 中心に近づくにつれ温度が高くなっていて, ブラックホールの近傍では (ブラックホールは図のスケールでは見えません), ガスの温度は1千万度もの高温となり強いX線を放射します. このX線が,はくちょう座X-1から放射されるX線の正体です. また降着円盤の中心付近から放射されるX線は, 降着円盤の周辺部分や超巨星の降着円盤側の面にあたって, その領域のガスをさらに暖めます(照射効果). 上記の描像は観測されるスペクトルをうまく説明できます. (CGアニメ作成 大阪教育大学 上園美穂) |