星虹/Starbow


光速近くで宇宙を飛行する宇宙船のブリッジからみた星景色

星虹(スターボウ)とは,簡単にいえば,亜光速で宇宙を航行するときに, 一つには光行差のために星の見かけの位置が宇宙船の進行方向前方へ移動集中し, また一つにはドップラー偏移のため星のスペクトルがずれて星の“色”が変化し, それらの効果が合わさった結果,宇宙船のブリッジからは, 進行方向を中心としたリング状の星の虹がみえるだろうという話である.

しかし,実際の星のスペクトルは,いろいろな波長の光が混ざり合った 連続スペクトルなので,七色の虹のようなスターボウをみることは 難しいだろう. したがってスターボウは,当初想像されたいたほどきらびやかな ものではないかもしれない.

一方,実際の宇宙には,星以外の天体が多数存在している. たとえば,中性水素雲・電離水素雲・分子雲などの星間雲, 原始星・白色矮星・中性子星・X線星, そして3K背景放射などなど. これらの天体は地上から見る限り,赤外線や電波やX線などでみえていて 可視光では目立たないが,亜光速で運動するとドップラー効果によって 簡単に可視光の領域に入ってくるはずである.

想像するのは容易ではないが,実際のスターボウは, おそらく一つとして同じ色のないパッチワーク的な 背景に,3色ないし4色に輝く宝石(ドップラー偏移した星々)を 散りばめた,万華鏡のような幻想的な眺めになるのではないだろうか.


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