加藤正二教授 退官記念パーティ

卒業式の季節. ぼくの恩師であらせられる, 京都大学理学部宇宙物理学教室の加藤正二教授が, この3月をもって京都大学を卒業された. 知る人ぞ知る,加藤教授は童顔で(ぼくより若く見える), 奈良学園前の自宅から京大まで2時間ぐらいかけて毎日通える体力の持ち主で (ぼくより遥かに元気),とても退官の歳には思えないのだが, 書類上はそういうことになるらしい.

その加藤教授の退官記念講演会&パーティ“もどき”が, この3月27日に行われた.
当日,昼の部では,京大の宇宙物理学教室の講義室で, コロキウムが行われた. まず,“前座”として,弟子筋で活躍している, 国立天文台の柴田氏と千葉大学の松元氏が, 加藤教授の仕事と絡めながら最近の仕事までを紹介した. そして,短い休憩を挟んで, 加藤教授が自分の研究生活を振り返りながら, 裏話をまじえて“最終講義”もどきを行った. (加藤教授が,ああいう,裏話を交えた話をするのは, 最初で最後かも知れない.)
夜の部では,京都市内のホテルに場所を移し, 立食形式で,退官記念パーティが“ささやかに”行われた. パーティの合間には, 弟子筋の北海学園大学の岡崎氏や, 宇宙物理学教室からは主任の斎藤氏が, 旧知の関係者からは, 名古屋大学名誉教授の藤本氏と東京大学の尾崎氏が, それぞれ挨拶をされたが,どれも心温まる楽しい挨拶だった. いや,実際,この種のパーティとしては珍しく, 退屈な挨拶が一つもなく,とても楽しめた. そして,加藤教授夫妻への花束贈呈の後に, 加藤教授のご挨拶もあった. これもなかなか楽しめた.
昼の部や夜の部の段取りはすべて, 京都大学の嶺重氏が仕切ってくれたのだが, お前も一つぐらいは仕事しろということで, パーティの司会はぼくの役目になってしまった. まぁ,恙なく終わって幸いであった.

ちなみに,上で“もどき”という意味は, よく偉いセンセが退官するときは, 何人かの世話人が中心になって発起人を募り, センセの業績などを書き連ねた回状を作って関係者にまわし, 記念品代やパーティの参加費を集めて, 大々的に退官記念行事を行うのが普通である. 加藤教授も偉いセンセの一人なので, 大々的に退官記念行事を行ってもおかしくないのだが, ご本人の希望により,あまり大げさにはしないことになった. だから,講演会(最終講義)もコロキウム形式にして, 記念品代などを集めたりすることもしなかったし, 関係者に簡単なアナウンスはしたが,回状などはまわさなかった (世話人側は楽だったけど).
にもかかわらず,最果ては北海道の地から, 日本全国から60人ほどの関係者が集う会になった. これが人望というモノなのだろう.

思えば,20年ほど前に大学院に入ったとき以来, 研究面はもちろんのこと,人間としても, 加藤教授から教えられたことは数限りないモノがある.
研究者というのは,歳喰うと,だんだん研究能力も落ちてきて, 退官の頃はふつうは研究の一線からは退いているのが普通だが, 加藤教授は現在でも精力的に研究活動を続けられていて, 来年には渡米して1年ほど客員研究者をする予定もあるらしい. 加藤教授にとって,退官はただの通過点にすぎないようだ. 今後も若い人間の目標であり続けて欲しいものである (とても到達できそうには思えないが).


天文学研究室へもどる
地学ホームページへもどる