著作権について

つい先頃, たまたま国立天文台のパンフレット(平成10年度版)をみる機会があった. 国立天文台の組織や施設などが紹介してあるモノで, カラーで印刷されたとても美麗なパンフレットである. パラパラめくっていたら,最後の方の研究トピックスのところに, 国立天文台の業績として『宇宙スペクトル博物館』が載っていた. ま,そこまではよかったんだが, さてさて,こいつは困ったぞ.

件の『宇宙スペクトル博物館』というのは, 天文教育用のCD-ROMマルチメディアソフトなのだが, (少し上の2月のトピックスにもあるように),

大阪教育大学の粟野諭美ねーさんが中心となって7人の著作者が開発し,
国立天文台岡山天体物理観測所と大阪教育大学が共同で制作した,

ものである. そのことは,CD-ROMの表カバーにも,

制作 国立天文台岡山天体物理観測所・大阪教育大学天文学研究室

とはっきり印刷してあるし, 著作者の名前も,説明書きに,

粟野諭美,定金晃三,田鍋和仁,福江 純(大阪教育大学)
乗本祐慈,前原英夫(国立天文台岡山天体物理観測所)
加藤賢一(大阪市立科学館)

と明記してある. また製作にあたっては国立天文台から援助を受けており, そのこともちゃんと書いてある. だから,パンフレットで国立天文台の業績として紹介すること自体は, いっこうに構わないのだが,その紹介の仕方がね, ちょっとね,かなりね,問題.極悪非道といえるだろう!?

というのも,上記のパンフレットには, 中心となった粟野ねーさんや他の著作者のことはおろか, 大阪教育大学と共同制作ということさえ,一言も触れていないのだ. おまけに,パンフレットにはCD-ROMの表紙の写真が掲載されているのだが, ご丁寧にもというか,制作者の名前が入っている表紙下の部分は, 念入りに削ってある. (文章だけならまだしも,ここまでやると, 単に事務的なミスではないだろうなぁ.)

著作権というモノを完全に無視しているよなぁ,これは. 国立天文台の公式出版物で,こんなことしていいんだろうか?

国立天文台は,自分のとこの著作権はかなりうるさく言うのだが, どうも,他人の著作権は気にかけないところらしい. まぁ,とても天下の国立天文台のすることとは思えない. 国立天文台に移行して10年経ったとか何とか浮かれているが, 内部意識は変わっていないのではないだろうか? 強者の論理を振りかざす旧来の意識が残っているように感じるのは, ぼくの感受性が強すぎるのかなぁ?

一昔も前なら,“国立天文台にもの申す”をネットワークにポストして, 物議を醸してやったとこだが,時間ももったいないし, はは,どうしてくれよう. <ホームページにでも書いてやるか

……こんなこと書くから,また睨まれるんだろうなぁ.<だれに?


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