音訳について

10月下旬に一通の封書が舞い込んだ. 図書とか何とかいう字が目に入ったので, てっきりダイレクトメールだと思い, 即,ゴミ箱に行きかけたのだが, 何とか思いとどまり開封してよかった. <音訳サービス>の会社からの依頼状だったのである.
はぁ,ぼくが知らんかっただけやろうが, 「音訳」か,いまごろはこんな職業もあるんやねぇ.
その会社の事業案内の表紙から:

「音訳」とは---
視覚情報を読み取り,音声にして伝えることです. 文字を音声情報にする場合, 例えば文庫本の約50頁が90分テープ1本になります. 正確な表現は勿論ですが,なるべく多くの情報を伝えるためには, 適切な速度や,長時間聴いても疲れない読み方など, 専門的な技術が必要です. 文章だけでなく,図やグラフ,写真などのすべての視覚情報を, 分かりやすく説明を加えて伝える技術も要求されています. このような技術を,朗読に対し「音訳」という言葉で表しています.
(音訳サービス・J)

いままでにも図書館など公共の施設から, 本の音読テープを作らせて欲しいという依頼はときどき来ていたのだが, たいてい,実作業は,ボランティアとかアルバイトだろうし, こちらもとーぜんというか,無償で許可してきていた.
今回の依頼状は,本を「音訳」し, 製品として販売したい,というものだったので, なかなかびっくりしたのだ(主に図書館など向けらしい). ま,でもよく考えてみれば,それほど意外なことでもなく, 社会の中に障害者向けのマーケットもできて, それだけ“バリアフリー”になったということなのだろう.
昨今流行りの“バリアフリー”,自分が直接参加する時間もその気もないが, やってもらう分にはぜんぜんOKである.

興味のある人のために,一応,連絡先を書いておこう:
 有限会社 音訳サービス・J
 〒221-0057
 横浜市神奈川区青木町1-10
 アーバンヴィラ五番館702号
 TEL/FAX 045(441)1674

あ,設立は1991年なら結構古いやん. でも,そんなに儲かる職業じゃないだろうなぁ. だって,TEL/FAX兼用やもん. 末永く続けて欲しいもんである.

もうちょっと宣伝しといてあげたくなった.
パンフレットをみると図書テープは300アイテムぐらいあるみたいだ. たとえば,ぼくの知っている(面白かった)本だと:
#209 うぶめの夏 京極夏彦 テープで13巻 37500円
とかが入っている. 新書で買えば1500円ぐらいだったと思うから, ざっと20数倍か. これはとくに長い本だが,普通の文庫だと,テープに直すと, だいたい6,7巻ぐらいになるようだ. 1巻が3000円のようなので,2万円前後になる見当である. 個人で買うには高いが,図書館などの予算なら可能だろう.


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