ケプラーの超新星残骸(Kepler's supernova remnant)

ケプラーの超新星残骸とは,1604年に爆発した超新星のなれのはてです. その名が示すように,爆発したとき,ケプラーの法則で有名なあのケプラーによって観測されました. このケプラーの超新星以来400年程度経ちますが,銀河系内では超新星が観測されていません. つまり,銀河系内で観測された超新星のなかで最も新しいものなのです. 右図は,X線天文衛星「あすか」で得られたデータを画像処理したものです. シェル型をしているのがわかります. これは,400年前の爆発でできた衝撃波が伝搬している様子を示しています.

上図は「あすか」のCCDカメラ(SIS)で得られたX線スペクトルです. この衝撃波によって物質が数千万度まで熱せられたプラズマになっていることがわかりました. また,スペクトルには硅素,硫黄,鉄などの元素からのたくさんの特性X線が含まれていることがわかります. この特性X線の強度を測ることによって,どの元素がどれくらい多いか(元素組成)を調べることができます. また,この超新星残骸は若い超新星残骸であるため,超新星爆発によって, どの元素がどれくらいできるかを調べることができるのです. 超新星は宇宙における重元素の源であるため, 超新星爆発で放出される重元素組成を調べることは重要な課題の一つです.


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