身のまわりの電波の利用で,
航空レーダーや飛行管制の取材をしようと,かなり悩んだが,
覚悟を決めて大阪国際空港に電話してみる.6/1(木)のことだ.
取材意図を書面で申し込んで欲しいとのことで,
早速,以下のような書面をしたため送った.
大阪空港事務所 総務課殿
レーダーや航空管制など無線関連施設の取材のお願い
拝啓
私は、大阪教育大学で天文学の研究・教育に従事しているものですが、先日、レーダー
などの取材に関して空港事務所に電話で問い合わせしたところ、書面にて申し込んで欲し
いとのことでしたので、取材の主旨を簡単に説明させていただきます。
私たちのグループでは、ここ数年、岡山天文博物館の粟野諭美館長を中心とした数人の
天文教育関係者で、天文学の教育普及を目的とした教育用マルチメディアソフト<宇宙ス
ペクトル博物館シリーズ>の開発を進めています。これはインターネットブラウザで閲覧
できるスタイルを取っており、パソコンがあれば誰でも簡単に使えるソフトをめざしてい
ます。その成果については、日本天文学会で発表したり、裳華房の方からCD書籍として
一般に出版されています。すでに出版されているX線天文学の紹介『宇宙スペクトル博物
館X線編:見えない星空への招待』については、サンプルが、
http://quasar.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/~fukue/Spectrum_x/top.htm
に貼られていますので、ご覧下さい。
さて、今年は、X線編に続き、電波で観た宇宙の姿を紹介するソフト<電波編>の開発
を行っているのですが、電波というのは目に見えない電磁波であり、なかなか一般の方に
はわかりにくいものです。そのため、ソフトでは、いきなり宇宙電波の紹介に行く前に、
身の回りの電波として、ラジオ・テレビ・携帯電話・カーナビなど、電波を利用した製品
の仕組みを説明するページを設けています。その身の回りの電波の例として、ぜひ、レー
ダー(管制)についても紹介したいと考えて、取材を申し込ませていただいた次第です。
具体的には、航空管制用のレーダー本体・レーダー画面画像・管制室など、レーダー関
連設備の写真撮影および上記ソフトへの掲載許可と、さらに、レーダーを中心とした航空
管制などの仕組みに関する資料の提供をお願いできればと思います。
私たちのグループでは、現在の理科離れ・科学離れに対しても危機感を抱いており、天
文学を紹介しながらも、身の回りの科学技術にも少しでも興味を持ってもらいたいという
考えもあって、ソフトの中では、動画なども使いながら天文学以外の科学技術も紹介して
います。以上のような観点での取材の主旨をご理解いただき、ご協力いただければ大変あ
りがたく存じます。
敬具
2000年 6月 2日
福江 純
勤務先 〒582−8582
柏原市旭ケ丘4−698−1 大阪教育大学天文学研究室
Tel 0729−78−3387
FAX 0729−78−3388
email fukue@cc.osaka-kyoiku.ac.jp
WWW http://quasar.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/ fukue
空港の取材は,ハイジャックなどの保安上の問題があるので,
とくに不特定多数が見る可能性があるマルチメディアコンテンツだけに,
かなり難しいだろうと思っていた.
しかしながら,大変ありがたいことに,
教育的な素材である点を理解していただけたようで,
取材に対して前向きに検討してもらえるようだ.
ということで,まずは,取材が可能なもの無理なものについて,
細かい打ち合わせをするために,
6/13(火)に大阪空港事務所まで出向いた.
#結構ドキドキ
予定より早く1時過ぎに着いたので,
はじめて展望デッキというものに出て,
ジェット機の離着陸を眺めるが,
なかなか面白いものだったりする.
さて約束の2時が近づいたので,事務所まで行くと,
おりょりょりょりょりょぉ!!
事務の方に加え,管制官の方々,総勢5人がおられ,
内心,うわぁ,えらいこっちゃ状態.
もうもう緊張しまくりだったが,
持参のVAIOで演示したり,スペ博のCDを渡したりして,
一所懸命に趣旨説明をする.
・・・うーん,学会の発表よりきつかったぞ.
まずは,(ぼくがあまりにも無知であり),
空港レーダーも含め管制業務を理解するために見学をさせていただく.
滑走路の向こう側にある第一レーダーASR/SSRを皮切りに,
管制業務のブリーフィングや管制室の見学など,
2時間近くみっちり説明を受けた(頭パニック状態).
でも,ほんと,ドキドキ体験だった.
4時過ぎに撮影したい絵の相談をして空港を辞去する.
いやぁ,これだけ本格的に対応してもらうと,
こちらもリキ入れて作らにゃならん!!
余談だが,見学の合間に,
映画の『ダイハード』の話になった.
『ダイハード2』だったかで,
空港システムをのっとったテロリストが,
計器着陸の地面をごまかすシーンがあったが,
あんなことはできないらしい.
ぼくらが『アルマゲドン』でいっぱいウソを見つけるように,
やっぱり専門家がみるといろいろウソがあるようだ.
まぁ,映画は映画として楽しむものなのだろう.
ちなみに,ぼくはダイハードもアルマゲドンもどっちも面白かった.
さて,いよいよ6/21(水)に取材決行.
自慢じゃないがカメラの腕はまったく自信がないので,
メンバーに助っ人を頼み,
田島くんと元ちゃんも来てくれる.
DV,デジカメ2台,カメラという,
万全の態勢で臨む.
当日は,あいにくと朝から雨模様(梅雨だもんな).
南展望デッキで待ち合わせをして,
2時に空港事務所へ.
簡単な打ち合わせ後,まずは第一レーダーの撮影から.
嬉しいことに天気はかろうじてもっている.
第一レーダーを撮ったあと,
滑走路のまわりをぐるっと一周してくれたので,
前回見れなかったILSグライドパスなども間近で見れた.
引き続いて,管制訓練室や管制塔の取材撮影.
あれやこれや撮らせてもらって,結局,
4時ぐらいまでかかった.
取材後,空港の喫茶室で今後の処理の打ち合わせをして,
さぁ,ここは一杯!といきたかったが,
後処理もあるので,(内心泣く泣く)
この日はまっすぐ帰った.
くっそー,また打ち上げやるぞぉ!!