名古屋市科学館の天文クラブ例会の天文講演会へ行ってきた。
内容は定番のブラックホールの話である。
たいていは京都や大阪近辺しか行ったことがなかったが、今回は、
『天文教育』誌でお世話になっている科学館の鈴木雅夫さんに頼まれて、
珍しく、名古屋までの遠出となった。
天文講演会なんていうものは、週末の午後あたりが定番かと思っていたら、
平日(木曜日)の夜にあるという。
名古屋市科学館は熱心なファンも多く、夜でも人が集まるらしい。
夕刻、名古屋に着いた。
科学館は地下鉄で一駅ということだったが、
名古屋大学には春の学会でも来たが、
科学館は10年ぶりぐらいで、やや不案内である。
また今週は、月曜日に暑い中オープンキャンパスがあり、
火曜日も京大関係の行事(呑み会;;)があった上、
水曜日の午後は会議が2つ連荘で6時間もあって、
完全に夏ばて状態だったので、迷わず、タクシー乗り場へ向かう。
で、タクシーの運転手さんに「名古屋市科学館にお願いします」。
運転手「“でんき”の科学館ですな」。
「えっ! 科学館っていくつもあるんですか?」
「いや“一つ”しかないです。伏見のところのでしょ」
(たしかに名古屋市科学館の最寄り駅は地下鉄伏見駅だ)
「プラネタリウムがあるところですね」
「はいはい」
「じゃぁ、そこだと思います」
ちゅう具合に走り出した。ひとかけらの不安。
「科学館にはよく来られるんですか」
「いやぁ、10年ぶりぐらいなんで、まったく忘れてしまって」
「へぇ、じゃぁ、科学館ができたてのころですね」
(えっ! 名古屋市科学館ってそんなに新しくないよな。
生命館を増築したあたりの話かなぁ)
かなりの不安。
まわりをキョロキョロ見回していたら。
「あ、あの茶色いビルの向こう側ですわ」
通りの地名をみると、たしかに伏見あたりには違いない。
「はい、“でんき”の科学館はここです」
と降ろされたのは、なんやら真新しいビルの前。
うーん、名古屋市科学館ってこんなに小さかったっけ、
ひょっとしたら裏口あたりなんかなぁ。
もー、どうしようもないので、そのビルに入っていき、
ガードマン風の人に、
「あのー、ここ、名古屋市科学館じゃないですよねぇ」
「はい、違います」
くっそー! 名古屋の運転手ええかげん!!
結局、その人に道を尋ねて、テクテク5分ほどあるいて、
ようよう“名古屋市”科学館に辿り着いた。
少し早めに動いていたので、予定していた6時ちょうどぐらいには、
なんとか科学館の入り口をくぐることができたが、
タクシー乗った意味がなくなっていた。
ますますヘロヘロになって、科学館の写真を撮るのも忘れていた。
入り口で待っていた鈴木さんに案内されて、天文ドームへ。
名古屋市科学館の講演会はプラネタリウム室で行うらしい。
ドームの中なので、聴衆の顔がほとんど見えないが、
ある意味で上がらないで済むのでありがたい一方、
様子がわからないので話しづらい面もある。
参加者は後で300人ぐらいだったと聞いたが、
その割には、名古屋の人はお行儀がよくて、
講演中はすごく静かだった。
一方で、講演後は質問が相次いで、非常に熱心である。
驚いたのは、質問の中身がかなり詳しく、また
講演テーマのブラックホールに関する質問ばかりあったことだ。
というのは、ふつうは、ブラックホールに関する講演をしても、
質問時間では、(ブラックホールに関する質問以外にも)
“宇宙のはじまりは”とか、“宇宙人はいるのですか”といった
質問が必ずある。
それはそれで構わないので、ぼくも、質問を受けるときにはいつも、
“宇宙に関する他の質問でもかまいませんよ”と一言添えるのだが、
今回はそのようなテーマ以外の質問が出なかったのに、
後になってから気づいた。
参加者が、天文クラブという練度の高い集団だったためか、
名古屋市科学館における天文活動がしっかり根付いているためか、
いずれにせよ、なかなか面白い現象だった。
6時半から8時までの講演をだいぶ超過して、
科学館を後にしたのは8時半ぐらいだった。
ふたたび駅までタクシーに乗る。
さすがに名古屋駅には間違いなく連れて行ってくれたが、
道が混んでいたためだろうが、新幹線口のかなり手前で、
「すぐそこですから」と降ろされた。
表口から歩いた方が近かったぞ!
帰りはのぞみに乗ったけど、行きのひかりと比べて、
京都名古屋間だと200円しか違わない。
のぞみも安くなったもんだ。
あれ、ひかりが高くなったのかな。
8時半に科学館を出て家に着いたのはほぼ10時、
その間、1時間半。
お金は別として、大学よりも近かった。
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