出版人の誇りを忘れた文藝春秋

5月の連休も終わる頃、ちょっとびっくりする出来事があった。 (元ちゃんの話じゃないよ<内輪ネタ)

かねてより文藝春秋の新書で一冊の本を出すことになっており、 編集部の企画会議も昨年2004年に通っていて、 今年の夏前には出したいということで、 すでに昨年末には脱稿し原稿も渡してあった。 その後、連絡がないので気にはなっていたのだが、 細かい点のチェックがされているのだろうと思っていたら、 突然の企画中止の連絡である。

4月1日に青天の霹靂で社内人事異動があり、編集部が刷新されて、 担当だった人は別の部署に異動したそうだ。 そして新しく来た部長殿が、自分が気に入らなかったものは、 進んでいた企画も平気で没にしたらしい。 ふつー、やるかなー、こーいうこと。

ぼくも書籍出版については、それなりに長い経験があるが、 ゴーサインが出ていたはずの企画が中止になったことは皆無だ。 (まぁ、そういう意味では、まだまだ経験不足だったということだろう。) 売れないからと言って、シリーズを縮小するような場合でも、 進んでいた企画は最後まで出版されている。 それが出版社としての矜持だろうし、社会通念からも当たり前だろう。 まして、今回の原稿は、 編集部から依頼され、企画会議も通り、すでに脱稿済みのものだ。 新部長殿は、自分がどんなことをしてしまったか理解しているんだろうか?  文藝春秋というのは、老舗の出版社だと思っていたが、 どうやら道義どころか社会契約さえ忘れた出版社に成り下がったようである。 (出版人の誇りを忘れた点では、鉄道マンの誇りを忘れたJR西と同じかな?) こんなことをしていたら、たとえ短期的には利益が得られても、 長期的には出版社としての信頼をなくし、つぶれるだろうなぁ。

少なくとも、ぼくに関する限り、文藝春秋と名の付く媒体と お付き合いすることは、今後いっさいないだろうから、どうでもいいが。

さて、あまりに突然のことで驚いたが、 担当だった方のせいでもなさそうだし、 以下のようなメールを出しておいた。

文藝春秋 ****さま

福江です

ご無沙汰しておりました。
その後、連絡がなくて気にはなっていたのですが、
そんな問題が起こっていたとは予想外で、
以下の話には、大変に驚いています。
**さんのせいではないかもしれないですが、
きわめて残念で(文藝春秋にとっては)不幸な状態ですね。

ぼくもいままでにそれなりに長い経験がありますが、
ゴーサインが出ていたはずの企画が中止になった経験は皆無です。
#まぁ、そういう意味では、まだまだ経験不足だったということでしょう。
売れないからと言って、シリーズを縮小するような場合でも、
進んでいた企画は最後まで出版されています。
たとえ、どんな小さな出版社であっても、
すでに進んでいた企画を中止するような、
道義にもとる出版社はありませんでした。
文藝春秋というのは、老舗の出版社だと思っていましたが、
どうやら、道義さえ忘れた出版社になってしまったようですね。
(出版人の誇りを忘れた点では、鉄道マンの誇りを忘れたJR西と同じかな?)
たとえ短期的には利益が得られても、長期的には
道義のない出版社はつぶれるだろうと思います。

上記のメールは、新部長殿に見せてあげてください。


ともあれ、仕方ありません。
すでに送った原稿、その他資料などいっさいは、
自宅宛に返却願います。

その後、資料なども返却され、さてさてと思っていたら・・・

いやぁ、10日後、大笑いしてしまった。 ここまで絵に描いたような反応が出るなんて。

肩書きが書いてないので不明だが、 おそらく件の新部長殿ではないかと思うが、 H井某殿からの手紙が届いたのだ。 そして、封を切る前から予想したとおり、 中身は言い訳のオンパレードである。 “アンタ何もわかっとらんなぁ。” この新部長さん、ホントに社会人だろうか?  社会契約をしておいて、もう要らないからすみません、 で済む話じゃないだろうに。

約束の履行がどうしても不可能になった場合、 いわゆる道義的な部分については、 まぁ誠意を尽くして誤れば済むかも知れないし、そうするしかないだろうが、 社会契約の部分は謝って済む話じゃないよなぁ。 法的手段に出ないのは、たんに面倒だからだけなんだが。

あんた(=新部長)なぁ、 そもそもは責任者としての自覚があるなら、 部署の変わった元担当に後始末を押しつけずに、 まずは自分が誠意をもって連絡してくるべきだろうが。 さらに加えて、もう一回、チャンスをあげたのに、 だいたいが、本当に悪いと思っているなら、 80円ぽっちで済まさずに、自腹切って謝りに来いよなぁ。 もー遅いけどさぁ。

こーいうのを、恥の上塗りというんだろうか。

いずれにせよ、ケチで無責任な上司の来た文春新書、不幸な職場である。

しかし、この新部長(?)の手紙、 あまりに幼稚くさくて、逆鱗に触れてしまった。 文藝春秋の社長にチクッテやろうか(笑)。 とりあえず、事の次第をHPで紹介してやろう!