天文学者大集合! 宇宙・天文を学ぶ大学紹介します
第8回“宇宙(天文)を学べる大学”合同進学説明会@大阪市立科学館(2015/06/14)

今年も、 2015年6月14日(日)に大阪市立科学館で、 世界で8回目(たぶん)、 天文学に特化した合同進学説明会、 すなわち“宇宙(天文)を学べる大学”についての説明会を開催した。
忙しい中でなんとか続けるべく、この数年はできるだけ省力化を進め、 申請や報告書などが負担な割りに効果がなさそうな後援は依頼せず、 後の整理が面倒なアンケートも実施していない。 プログラムもほぼ同じである。 ただし、今年は目玉企画が面白いモノだった。

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10:00 受付開始
10:30 各大学の紹介 パート1
11:40 ランチ&ポスターセッション パート1
13:00 各大学の紹介 パート2
14:00 休憩&ポスターセッション パート2
15:00 天文講演会天文学者の道具自慢!
17:00 夕・夜の部
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今年も昨年同様、参加者と研究者の交流をより深めるために、 大学紹介時間はギリギリに切りつめ、 ポスターセッションの時間をできるだけ長く取った。 大学紹介パート1については、今年の司会進行は、 後半でもっとも遠い、山口大学の藤沢さんに頼んだ。 パート2については、前半の九州大学は山岡さんに頼んだ。 大阪教育大学紹介については、今年は福江が行った。 また、天文講演会は、科学館の渡部さんの提案で、 「天文学者の道具自慢」という面白い趣向であった。 参加大学は18大学であった。

合同進学説明会のポスター:全体紹介

研究対象・研究手法マップ

研修室

曇り模様で暑くはなく雨も降らず、ほどよい天気で、 今年も8時半には科学館に着いてしまった。 勝手知ったる研修室へ入って準備をはじめる。 とはいっても、今年はパソコンも置いてきたので、 荷物を置いて、電気とエアコンを付けたら、後は、 科学館アトリウムの分光器の展示など見ながら、 しばらく時間をつぶした。

朝礼中

招集時間の9時には学生も集まってきて、 ポスターボードや受付の設営に取りかかる。 ちょうど科学館のおねえさんたちが朝礼点呼している中を、 渡部さんの後にしたがってポスターボードを取りに行くところ。 この後、おねえさんたちは発声練習とかしていた。

受付設営

9時半ぐらいには、ポスターボードや受付など設営が終わる。 学生も5人ほど来てくれて、割と手際よく準備も終わった。 今年ははじめて大学から予算が少し付いたので、 学生にも謝金を出すことができた。 そろそろ科学館が開館する時分だろう。

出だし好調

今年は出だしが好調である。 去年の出だしは微妙だったが、 今年は科学館の開く9時半ぐらいには最初の来訪者もいて、 受付開始となる10時時点で、すでに20名もの高校生が記帳している。 来た人にはどんどん説明を聞いてもらっていて、これは、 京大の長田さんに熱心に尋ねている女子高生。

結局、今年は、高校生や学生の参加者は80名、 教員や父兄その他、一般の参加者も43人で、 合計は123人と、研修室が超満員の大盛況となった。

今年も去年と同じ部数で、
・大学オリジナルクリアファイル50
・研究室紹介パンフレット50
・大学ノベルティのボールペン50
を用意したが、まったく足りなかった。

うちのポスターの写真(はない)

準備の合間に、ポスターを貼った。

合同進学説明会のポスター:大学紹介
大学紹介のパワポファイル

10:28

開始直前にはほぼ満席状態になった。 椅子が足らないので、大学関係者は後ろで立っていたりする。

11:30

開始後も増えていき、通路などにも椅子を並べて対応した。

大学紹介タイム パート1

えっと、どこの大学だっけ、 まいっか。


ランチ&ポスターセッション パート1

みんな、さっさと食べて、ポスターへ殺到。 研修室内も研修室外も、熱心に質問や紹介が行われていた。

大学紹介タイム パート2

午後からは、大学紹介のパート2。 午前と同様に超満員状態。


休憩&ポスターセッション パート2

午後のポスターセッションも、午前と変わらぬ賑わい。 今年はぼくも随分と質問を受けて、とくに教育大学が一つだったこともあり、 社会教育施設への就職とか、教育的な卒論のこととか、あれこれ問われた。

天文学者の道具自慢

最後は天文講演会で、司会は渡部さん。 この段階では、数割の人は帰るので、 会場は少しゆとりができている。

天文学者の道具自慢 MP4ムービー(887MB)

カメラ?

トップバッターは、甲南大の冨永さんが道具紹介。。。。何だっけ(笑)。 渡部さんの掛け合いが上手で、とにかく、会場が沸いたわいた。
トップバッターの甲南大が出された道具は、「光電子倍増管」というもの。「大型望遠鏡に装着して微弱な信号を検出するために開発された光センサー(検出器)で、紫外線の検出感度は世界一(!)です。この光センサーを1855本束ねて2.3m口径のカメラにして、それを23m口径望遠鏡の焦点に載せます。」(冨永望さん談)。

カメラ

2番目は、広大の植村さん。 何だっけ(笑)。
これは「シリコン・ストリップ・ディテクター (Silicon Strip Detector)」と呼ばれる代物だそうだ。「NASAを中心にした国際プロジェクトによって開発され、現在、人工衛星として宇宙を飛んでいるフェルミγ線宇宙望遠鏡に積まれているγ線検出装置です。広島大学を中心とした研究グループで開発したものが使われています。高い性能の検出器を提供した功績によって、開発を主導した大杉節広島大学特任教授にNASAから感謝状が送られました。」(植村 誠さん談)

万年筆

ぼくが出したのは理論屋の道具である万年筆。
これは理論屋の仕事道具なのだ。最近では数値シミュレーション(数値実験)が多いが、理論屋の伝統的な武器は、ペンと紙である。歩いているときやホームで電車を待っているときに思いついたことを、座るやいなや手近な紙切れに書き付けて、簡単な計算をしてみて確認する。ペンさえあれば、いわゆる“back-of-the-envelope calculation(封筒裏を使った計算)”がいつでもどこでも、できるのだ。ペンと紙は枕元にも常備する必須アイテムである。

カメラ

神戸大の中村さんは、はやぶさ2の、何だっけ(笑)。
神戸大学のメンバーらが、JAXAや他大学機関と共同開発した“はやぶさ2分離カメラ (DCAM3) ”の模型だそうだ。 「当学科では特に高解像度広角カメラシステムの開発を担当しました。DCAM3 は、はやぶさ2探査機に搭載された衝突装置 (SCI) が人工クレーターをつくる様子を見届けるために、特別に開発したカメラです。はやぶさ2探査機本体は、SCIの衝突によって飛んでくる破片を避けるために遠くに避難します。その際に、このDCAM3が本体から切り離されて、危険な現場を間近で撮影します。小惑星の上でどのような衝突が起きてクレーターが形成されるのか、その鮮明な画像を地上に送り届ける、小型ながらも非常に重要な任務を託された特殊な観測装置です。」(中村昭子さん談)

分光器

兵庫県立大の伊藤さんは分光器。
正確には、可視光分光器NILSという名前の代物である。 「この装置は、西はりま天文台の60cm反射望遠鏡に取り付ける分光器で、星の光を虹に分けることができます。星の虹、すなわちスペクトルを調べることで、その星にはどんな元素が多いのか、星がどれくらいのスピードで動いているのかなど、様々なことがわかります。西はりま天文台のなゆた望遠鏡にはもっと複雑な分光器がついていて、星や銀河について詳しく観測をしています。」(伊藤洋一さん談)

カメラ

阪大の中嶋さんは、あすか搭載のX線CCDカメラ。
阪大からはX線天文衛星「あすか」搭載のX線CCDカメラ(のメカニカルモデル)。…合ってた(笑)。「みなさんの携帯電話やデジタルカメラの中にあるCCDと原理は同じですが、こちらは天体からのX線だけを感じて写真を撮れる特別なカメラです。あすか衛星は世界で初めてCCDを使ってX線カラー写真を撮影し沢山の成果をあげました。今年度打ち上げ予定のASTRO-HというX線天文衛星には、このカメラの進化版が搭載されます。」(中嶋 大さん談)

ホーン

大阪府大さんは電波望遠鏡の受信ホーン。
具体的には、「ホーン」と「ミクサブロック」と「超電導素子」のセットだ。 「いずれも、電波望遠鏡に搭載する冷却受信機の部品です。ホーンやブロックは、宇宙電波を効率よく受信したり通過させるために1ミリ以下の溝や穴が掘ってあります。超電導素子は様々な金属、超伝導体や絶縁体がナノサイズで何層にもわたって積み重なっています。極めつけは、この素子を顕微鏡で覗きながら"手作業"でブロック内に設置することです。素子はあまりにも小さく薄いので、力の加減を間違えるとすぐに折れます。電波天文学者には、手先の器用さと忍耐力が求められます。」(村岡和幸さん談)。 サイドローブを減らす溝の話は興味深かった。

面分光用ガイドファイバー

京大の長田さんは、面分光に用いるグラスファイバー。 渡部さんのリードで、みなさん、楽しそうに話している。
京大からは「面分光ユニット用ファイバーバンドル」というもの。「光ファイバーをたばねて、広がった天体のそれぞれの部分から来る光を、一本一本の光ファイバーを通して、分光器のスリットに導くものである。従来の分光器は、“一点”の、あるいはスリットに沿った“一直線上”の、天空の領域の分光観測しかできなかったが、こうやって精密に並べられた光ファイバー(位置の誤差は5マイクロメートル以下)を使うことで、一気に“面”の領域の分光観測ができるようになったすぐれものである。(長田哲也さん談)

カメラ→たくさん

大阪市大の荻尾さんは、テレスコープアレイの装置、だったと思う。
大阪市大の自慢道具は「テレスコープアレイ実験の宇宙線観測装置」というもの。本体はあまりに大きくてパネルで紹介され、装置の一部として、プラスチックシンチレーター、ウェーブレングスシフターファイバー、光電子増倍管、データ収集エレクトロニクスなどを持参された。「3平方メートル(およそ一坪)の広さの放射線検出器(そのパーツをお見せしました)507台を700平方キロメートル(琵琶湖の広さとほぼ同じです!)に展開している北半球最大の宇宙線観測装置で、米国ユタ州にあります。宇宙を飛び交う素粒子の中でもっともエネルギーの大きい(可視光の20ケタ以上もエネルギーが大きいです)“最高エネルギー宇宙線”を観測しています。」(荻尾彰一さん談)

茶筒

徳島大の伏見さんは、何だったっけ、 まじで、覚えていない。百万円の茶筒という言葉しか覚えていない(笑)。 今回のオモシロ企画は、ビデオ撮りしたので、後で確認しよう。
徳島大の自慢道具その1は「万年筆」。 「実験ノートはきっちり書かないといけませんよ。 “ダークマター見つけた!はあと”とか書かないように気をつけましょう。」 (伏見賢一さん談)
その2は「茶筒」(合ってた!)。 「この茶筒はダークマターを捕まえることができます。私の体にも時々ダークマターはぶつかっているはずですが、“いま私のおなかにダークマターがぶつかりました”なんて認識できないですから、この茶筒でわかりやすい光に変換して証拠として残します。これ、茶筒なのに一本100万円もします。これを全部で200個くらい並べて実験したいです。」(同)

以上、随分と多くの自慢道具が披露された。

お待ちかね夜(夕)の部

会場片づけが終了しても4時半、まだ店が開いてないよう。 昨年同様、店の前で少し待って、学生5人と5時から飲み始める。 これ、酔いつぶれているんじゃなくて、 こぼしたお酒を飲んでいるとこ。

がんがん

日本酒も結構がんがん進んで、明日もあるので、 1次会のみで、8時前ぐらいで解散した。 肥後橋から淀屋橋まで歩く途中に、 まだ空がほんのりと明るかった。

翌日出した簡単な報告。

第8回合同進学説明会 参加大学のみなさま
渡部さま

福江です

おはようございます。
昨日は朝からの長丁場でしたが、ご苦労さまでした。
大学紹介やポスターセッションそして道具自慢まで、
大変にありがとうございました。
天気もほどほどでよかったです。
予想外の盛況で、学生と飲んだお酒も美味しかったです。

昨日の結果を簡単にご報告しておきます。

朝の出だしは10時の受付開始時点ですでに20人を数え、
今年はえらくペースが速い感じはあったのですが、
帰りの電車で受付リストを数えたところ、
高校生ら学生の参加者は80人と昨年の2倍、
教員や父兄その他、一般の参加者も43人で、
合計は123人にのぼりました。

詳細内訳

小学生  3 (小3  1、小6  2)
中学生  5 (中3  1、中2  1、中3  1)
高校生 64 (高1 19、高2 33、高3 12)
大学生  8 (大1  2、大3  2、大4  4)

教員   3
父兄その他 40

参加大学 18
大阪教育大学関係の手伝い 5

でした。
例年のように、中学生・大学生の参加者が若干あり、
高校生は、4年前30、3年前20、一昨年51、昨年33、今年64でした。
(天文講演会の部分のみの参加者は今年は含んでいません)

一昨年から省力化のためアンケートは取っていませんが、情報の流れは、
・科学館や各大学のHPでの告知
・関係MLでのアナウンス
・近畿の60校程度へのDM
などがメインです。

今年倍増した原因はよくわかりませんが、ある程度は定着してきたのや、
姫路高校(10人近く引率)、明石天文館(5人ぐらい引率)など、
引率組もありました。兵庫県立大附属も7人ありました。
遠方からの参加者としては、岡山、琉球大学などがありました。
父兄同伴の人も今年も多かったです。

来年もよろしくお願いします。
とりあえず、簡単なご報告まで。