2012年 皆既日食 in オーストラリア ケアンズ
(2012/11/14)

はじめに

太陽の年、2012年のラストを飾るのは、 <大阪教育大学2012年金環日食・皆既日食プロジェクト>(公称?)の締めくくり、 オーストラリア・ケアンズでの皆既日食観測ツァーである。 MKタクシー、ドアツードア、関空直行スカイゲートシャトル便から、 BGMはZONEで、絶賛実況中継中(??)である。


験を担いだというわけでもないが、2009年の皆既日食に持参したノーパソを 今回も持参。壁紙は2009年のダイヤモンドリング。

足掛け4年の大計画

長いようで短い3年間(あ、足掛け4年以上か)だった。 元西はりま天文台の黒田武彦さんに誘われて、 2009年7月22日に小笠原近海で皆既日食をみたのが病の始まり。 一生の間にもう一度は「黒い太陽」に再会したいと思いつつ、 あくまで日食は天候という運に左右されリスキーな相手なので悩むところだ。 小笠原の直後にすぐ調べたら、2012年にオーストラリアであるらしい。 この宇宙に生まれた人間として、また天文の業界で食っている人間として、 南天の星々は一度はみておきたかったので、これは一石二鳥のチャンスである。 かりに日食がアウトでも、南天の星々ぐらいはみられるだろう。 さいわい、黒田さんもオーストラリアのツァーは考えているということで、 オーストラリアのどこで起こるかも知らないまま、 よし行くぞと、固い決意をしたのが、もう3年半前のことである。
…ちょうどsecret baseになった
2009年の小笠原は純粋にプライベート旅行だったが、 できれば2012年はそれなりに観測をきちんとするオフィシャルなツァーにしたい。 さいわい、2012年の5月21日には日本で金環日食もあるので、 それも合わせて<大阪教育大学2012年金環日食・皆既日食プロジェクト>と題して、 周到な準備を開始することにした。 3年もかけて精力的に何かに向けて準備をしたのは、これがはじめてである。

まずは人材の確保である(ぼく自身は観測下手なのは明らかなので)。 学生を連れて行くなら、卒論がらみなどの名目が必要で、 となると2012年の4回生では時期的に遅いし、2012年段階で、 3回生や修士の学生になるあたりに、少しずつ声をかけていった。 いろいろな事情もあり、全額負担というわけにもいかないらしいので、 なかなか条件も難しいところだが、 最終的には、スタッフ2名(福江、松本)、院生2名(小倉、野口)、 学部生2名(川端、松浦)、計6名という、予想外に大人数の観測隊になった。

そしてもちろん欠かせないのは、機材や旅費の捻出である。 いまどきの大学は貧乏なので、特定目的のプロジェクトとしては、 さすがに大きな予算はもらえなかったが(分厚い申請書も出したものの)、 ちょうど金環日食が教育現場でも重要視され初めていた時期だったので、 学長には何度か無心に行って、2度ほど、少額だが、 学長裁量経費をもらえたのは助かった。 その代わり、先生向けの金環日食講習会を3回ほど開催したが、 大変な一方で、こちらにも非常にいい勉強の機会になった。 研究費なども投入して、毎年、少しずつ機材を買い揃え、 最終的には、デジタル一眼レフカメラやアクセサリーが5,6セット、 小型望遠鏡のボーグや従来からあったビデオなども併せ、 十分な観測機材も揃った。 渡航旅費の方も、少額の予算を何件もかき集めて、 なんとか賄えることになってほっとした (学生には最悪、分割になるよと言っていたが)。

そしてもちろん、練習である。 51cm望遠鏡の経験はあっても、日食撮影に関しては、素人集団だ。 まずは2012年の金環日食をめざしての練習である。 さいわい、研究室をあげて取り組んだ金環日食観測は、おおむね成功し、 卒論が3つと、天文月報の記事4本としてまとまった。 もっとも、金環日食と皆既日食の撮影はまったく違う。 引き続き、皆既日食撮影の練習である。 満月あたりで撮影練習をしておくように言ったけど、上手になっているだろうか。

金環日食の事前と同じく、皆既日食の前にも、何度かミーティングをもち、 観測目標や分担などを決めていった。

いずれにせよ、人数も増え十分な体制で臨めることが決まった時点で、 観測下手なぼくは、自分自身に戦力外通告(笑)をした。

ただ、何とも残念なことは、肝心の黒田さんが、今年1月に病に倒れ、 自分が企画した今回のツァーに参加できなくなったことである。 こちらも黒田さんが率いてくれないとなると、楽しさ半減だ。 (実際、ツァーも縮小したようである。) が、気を取り直し、黒田さんの分まで楽しもうと勝手に決めて、 今年は講座主任だったり田舎の介護(両方)があったり、 公私ともに忙しい中(忙しいこそ?)粛々と準備を進めていった。

そしていつの間にか当日がやってきた。

11月11日(日) ツァー第1日目

さて、京都市内でぼくも含め4組を乗せたシャトルは、 雨脚が治まったり強まったりする高速に乗って、 夜の帳が下りる中、一路、関空を目指している。 関空着は6時前後の予定である。 手元も暗くなったし、実況中継はいったん終了しよう。


BGMは中央ハイウエイの方が合ってたかな。

関空、広い、疲れた。 今回、通常の出張でもっているノーパソなどに加え、 重たい望遠やら三脚やら機材があるので、かなりの重量で、 すぐスタミナ切れになった。 とりあえず、大阪教育大学観測隊は、全員、集まっているこをと確認。 OBの住友くんたちも参加している。 他にも西はりま友の会など、ちらちら見知った顔がある。 事前に両替する間がなかったので、まずは、オーストラリアドルへ両替。


当然、使い切る(というか、おそらく全然足らないが)予定なので、 記念に撮影したけど、プラスチックのお札らしい。

それから、歩く歩く歩く、行列行列行列、 保安チェックやら税関チェックやら、何度もゲートを抜けて、 ほんと、もーくたくたになって、北ウイングへ。 そして、格安航空JetStarのJQ16便、 20時半、ようやく離陸である。


最近の格安航空なので、機内は比較的新しいし、 各座席の裏側には液晶パネルがあって、 インフォメーションや有料の映画などが見られる。

10時近くになって、かなり遅めの夕食。、 厚揚げみそかけ(実は揚げ出しみそかけ)にしたが、 さすが、格安航空、おかずは一品のみ;味は悪くなかった。 ただ、ビールが…結局、隣席の松本くんとともにハイネケンを頼むけど、 いまいち(いま2)の品揃えだった。


格安航空の機内食はこんなだと割り切ればいいのかも。

でも、夜のフライト、懸念通り、一睡もできず。はぁ〜、めちゃ疲れた。

11月12日(月) ツァー第2日目

オーストラリアとの時差は1時間、 キャンセルで空いていた席で2人分の場所で、 丸くなっていたけど、眠れないまま、 2,3時間ほど、右になったり左になったりしているうちに、 機内の明かりが灯った。 ありゃりゃ、もしやと思ったら、 早朝も早朝の2時半から朝食(笑)。 朝から焼きうどんだったが、とりあえず、一口、食べる。


食べんと体がもたんと思ったから食べたけど、 ピリ辛味で何とか食べられた感じ。 時計は時差調整していない日本時間(ケアンズ時間だと3時半)。

ケアンズ空港に着いたのは、4時(現地時間5時)ぐらいだったと思うが、 ここらへん、寝不足やら疲れで、空港での行動など、 記憶が朧であやふやである。 ああ、そうだ、ここも税関で並ぶ並ぶ並ぶ。それは覚えている。


ターンテーブルのところで。


トロピカルなケアンズ


無事ついて、ちょっとほっとしている。トイレの前だけど。

世界中から、日本中から、多くのツァーがあるだろうが、 今回参加した日本旅行の場合は、 ケアンズ空港からは2台のバスに分乗し、 まず市内をぐるぐる回って簡単な市内案内をした後、 片道1時間ほどかけて観測地アマルーへ下見に行き、 ふたたび市内に戻って免税店などを経た後に、 シーフードレストラン「カニーズ」で昼食へ。 液体燃料の補給を2グラスしたら、少し回路が動き始めたけど、 同時に、酔いが回るのも早い、結構、きたかも。


市内引き回し中。


カニーズ近くのラグーンプール。 向こうに広がるのは南太平洋はグレートバリアリーフ。 たぶん、朝の7時前だけど、もー、泳いでいる人がいる。


ラグーンプール近くの公園で、トイレ休憩中だったかな。


アマルーへ行く途中に、 キュランダ(観光鉄道の終点でリゾートらしい)へも立ち寄る。


木に他生するシダ。


これはお約束だが、つまらないモノを撮ってしまった。


空港からずっと雨ないし曇りだったけど、 日が差すと、さすが色鮮やかな植生である。

アマルー 太陽が北側にある!!!


観測地アマルー。正面あたりに日が昇るらしい。 明後日の朝日は拝めるのか?????


OKギフトショップ。 ギャラリアなどのDFS免税店にはとんと縁がないが、 お土産はいろいろ指定もあり、ここでかなり揃った。


カニーズでの昼食タイム。ビールは美味しかった。 魚の天ぷらは、味はそこそこながら、このでかさ(基本らしい)は無理!  パックツァーの食事にしては、今回は予想よりよかった。

草臥れて到着してから半日以上も市内引き回しの刑であるが、 どうも、ホテルのチェックインが午後2時からというのが、 大きな理由だったようだ。 1時過ぎには、少し郊外のホテル コロニアルクラブに着いたが、 待つことしばし、2時過ぎにようやくホテルの部屋へ。 松本くんと同室である。 もうこの時点では身動きもできないくらい疲れていて、 荷ほどきをしてシャワーを浴びたら、文字通りバタンQ。 1時間ほど爆睡したら、なんとか動けるくらいまで回復した。


コロニアルクラブ。いわゆる植民地時代風ね。


土地だけはあるので、多くの部屋が平面上に広がっていて、 内部はいたって簡素なドミトリー風である。。


シャワー!! もちろん、左下にトイレ、右側に洗面がある。

さて、重要な目的、日食観測と併せ、南天の撮影もある。 今回のツァーにもオプショナルツァーとして、星空観察があり、 費用対効果および天気対策から、学生は2組に分けて、 別の日に2夜、星空観察へ参加することにしていた。 今日12日は小倉・川端組が、日食翌日の15日は野口・松浦組が、 星空観測へ行くという分担になったらしい。 松本くんは両日とも参加してくれることになったので、 こちらでも、ぼくは戦力外通告して、 ホテル近くから夜空を眺めることにした。

晩飯は街へ繰り出そうかどうしようかと事前には話していたが、 観察組もいて時間的に難しいし、疲れもあるので、 ホテルのプールサイドバーで簡単に済ますことにした。


んで、だいたいの時間に行ったら、泳いでいるやつら(笑)。 を、尻目に、待望のビールを飲み始めた。
いやぁ、至福至福至福…至福のときである。 何年かぶりに世俗の煩わしさと無関係になって、 心地よい風の吹く中、美味しいビールを呑めるなんて、さいこー。 生きててよかった感、マックス。


現地時間6時でも、こんなに明るい。さすが、季節が逆だ。

この数日、天気がよくないらしい。 雲の合間から星はちらちら見えるけど、 そして星の位置がすごく高かったりするけど、 星座まではよくわからない。


これ、VB(ヴィビ)だったかな。

プールサイドバーで、空の様子をみながら、 南国ナイトを堪能した後、 今晩の担当の小倉・川端組を送り出して、部屋へ戻る。


こっちは部屋で呑んだXXXX(フォーXと読むらしい)GOLD。 (半分は、やはり星空観察へ行っていた松本くんが呑んだもの)

売店できっちりゲットしていたオーストラリアのビールを呑みながら、 3DSでブレイブリーデフォルトをしていたら、 野口・松浦の居残り組が赤ワインをもってきたので、 何年かぶりの夜ゼミで恋愛談義に花が咲いた(笑)。

11月13日(火) ツァー第3日目


レストランから中庭&プール側


ゆうべは 夕方からしっかり呑んだり喋ったりしたので、完熟睡眠。 時差調整していない自分の時計で6時にすっきり目覚めた。 となりでは松本くんが爆睡中。 ふだんはブランチと晩飯の2食なのに、 旅に出たときは不思議と朝昼晩の3食になる。 今朝もあまり食欲ないけどホテルのバイキングに行ったら、 パンが予想以上に美味しくて、そこそこに食べられた。 天気は今日も朝から、曇ったりスコールみたいだったり、 ときどき晴れ間の心配天気状態。


こんなのも居たりする。


もっともっと種類はあったけど、これぐらいで十分。

朝食時間は10時までなので、9時半になったあたりで、 食べ損ねないように学生たちを起こして回る。 なんとか10時40分のバスに間に合って、街へ出かけた。 目的は、市内散策、博物館見学、そしてカフェでのお仕事 (これが結構に楽しい)、そして夕食。


ちょうど助手席が空いていたので、ゲット。

明日の日食本番は、早朝というより夜中の1時には起きないといけない (2時にはホテル出発)、これまたハードスケジュール。 だから、夕食といっても、夕方には食べてホテルに戻り、 早めに寝る必要がある。

ケアンズ中央駅で学生とわかれて、市内メインストリートへ向かう。 天気がよければ太陽撮影の練習をしようと、 一眼レフカメラ+望遠レンズも持参したが、 曇ったままで、お荷物になっている(悲)。 パソコンもあるし、メインストリートを15分も歩いたら草臥れた。 ちょっとアホかも。


ケアンズセントラルの中央ホール;夏のクリスマス!

学生とわかれてメインストリートのシールズ通りを散策していたが、 草臥れたし、小腹もすいてコーヒーも飲みたくなったので、 よさげなオープンカフェ perrotta's をみつけて入った。 街角のカフェ。これですよ、これ!!


カフェからの通りの眺め。空は一面の曇り空。


軽食でいいので朝食用のメニューを頼んでみたが、 メニュー、よくわかんないし、というより、ほとんどわからん。 いちおう名前のわかったカプチーノ(こっちの基本らしい) と安いトーストを一つ頼んだら、これがきた。 そっか、Reyとあったのはライ麦パンのことなのか。 withなんとかは、ジャムだったようだ(笑)。

で、まず、カプチーノ;うわぁ、すげえ旨い。 ホイップクリームがふわふわで、 こんなカプチーノ、はじめて飲んだ。 トーストは、ジャムを塗らずに食べてみたら、あまり味がしないけど、 ジャムをつけると、これもそこそこに旨い。 でもライ麦パン2枚はさすがに多すぎる。どーしよー。 →テイクアウトして、お土産にするか(笑)


ホイップたっぷり、カプチーノ。 シナモンにしてはココア風味だと思っていたら、 こっちのカプチーノはココアパウダーらしい。


ちょーどいま、ここを打っているところの写真。 Lumixはだいぶ使い慣れてきた。


カフェからの通りの眺め。

そ、外国に行ったら、街角のオープンカフェに限る。 まわりを眺めているだけで、異国にいるのが実感できる。 ここに2時間くらいいたけど、半分くらいはボーっとしてたかなぁ。 松本くんや学生とは3時に バスターミナル近くの四つ角でで待ち合わせの予定だが、 後、2時間半、コアラと歴史博物館と、どっちにしよう(?)。

結局は研修と思い(意外にマジメ)、歴史博物館に入って、 アボリジニの歴史やゴールドラッシュの時代、 そして戦争の時代など、さまざまな資料展示を見て回った。


歴史博物館。


金を量る天秤と何かのひこーき? 


シティプレイス。通りのど真ん中に大きな木が!


残念ながら後ろ姿しか撮れなかったが、こっちのポリスはでかい!  しかもみなサングラスかけていて、 正面からみたら、MIB(Bはブルー)にしかみえない。 さらに腰には二丁拳銃。片方はふつうの拳銃だろうけど、 けばい色の着いた方はガス銃かゴム弾か、 電撃銃とかテザー銃ということはないよなぁ。


こっちは前から撮れた(笑)。ケアンズは美人が多い、というのは全員一致。

3時少し前にシールズ通りの中心部、 車の入れないシティプレイスで、学生と合流。 松本くんも来られれば来ると行っていたけど、 現れないので、早く寝るために、早めの夕食へ。 といっても、ほとんどの店が、夕方はキッチンが開いていないので、 まずは途中で目星をつけていたホテルのバーへ行く。 軽食しかなかったが、鳥の唐揚げが思わず美味。 ビールもビビ(VB)、なかなかいける。 そしてスタッフのお姉さんも美美。 つづいて、もう一杯、アイリッシュパブでギネスを呑んでから、 6時の有料シャトルバスでホテルを戻る。


シティプレイスのベンチに腰掛けて、 望遠で太陽や風景を撮る練習をしていたら、 ちょうどヒット。



最初に入ったパブ、クラウン。


美人のお姉さんに注文中。


おお、小倉くんを撮ろうとしたら、お姉さんにピントが合ってしまった(確信犯?)。


切り分け奉行。今日のビールは、XXXX BITTER。


とにかく、どれもこれもサイズがでかい。


2軒目のアイリッシュバー。 日本でも何度か入ったことがあるが、こっちはめちゃ広い。


やっぱり美人のお姉さんに注文中。


年齢確認中;同じくらいの年だったりして。

まだ明るい中、ほろ酔いでホテルに戻った後で、 売店でワインとかを買って、もう一押し(笑)。 そこらへんからあまり覚えていないのだが、 十分に酔ったので、 …あ、少し撮影の練習をしたかな… たぶん、9時過ぎぐらいに寝たはずである。 アルコールを十分に摂ったので、 ちょうど3時間ほどでトイレに行きたくなる自動タイマー付きで。

11月14日(水) ツァー第4日目 <皆既日食当日>

期待通りに、ホテルを出る1時間半ほど前、 12時過ぎにアルコール自動タイマーで目が覚めた。 体がなかなか動かないが、もう眠っちゃいられない。 今朝はどういう手順を踏んでいたのか、ほとんど記憶がないが、 外気温をチェックしながら、ふらふらと着替えをしたんだろう。 いちおう、モーニングコールもかかったはずだが、 念のために、学生の確認もしにいったような気がする。 何とか2時には全員が集合しマイクロバスに便乗して、 観測地アマルーへ向かえた。


ホテルのエントランスへ集合したところ。真夜中の2時!


真っ暗闇の中を、何台ものバスがカーチェイスしながら、 アマルーに着いたところ。やっぱり助手席。


同日午後に、部屋でホームページを書いていたら、 ベッドメーキングに来たので、図書室みたいなところに移動して続きを書く。

3時頃には現地に到着したが、 日の出(とほぼ同時に第一接触)まで2時間強ある。 あたりは真っ暗だ。 朝方(じゃなくて真夜中)には土砂降りも降っていたが、 幸いに雲が切れてきて星空が見えだした。 一時は、空のかなりの部分が晴れて、 星座もしっかり見えてきたけど、 これがまた北半球とは逆転なので、 よほど考えないとわからない。 オリオンも北側でひっくり返っているので、 すごく変な感じである。 ぶっとい天の川や大小マゼラン銀河はしっかりわかった。


星空の写真も何枚か撮ったが、比較的よく撮れたやつ。 ただ星座がわからん。もしかして、ひっくり返ったぎょしゃ?  そーいえば、星空の写真を撮影したのは、ほぼはじめてかも。

皆既日食では動物が騒ぐというが、 人間は日食前から異常にハイテンションになる。 星空が見えていることから、テンションもあがりっぱなしである

ところがところがところが… 明け方に近づくに連れ雲が厚く流れはじめ、 それも東側(海側)から湧き出ては流れてくる始末で、 おまけにちょくちょく雨が降り出すわ、寒くもなり、 みな、だんだんと凹んできた。

日の出あたりは雲が厚くて太陽はどこ状態で、 明後日の方向には晴れ間もありながらの、 どうにもこうにもならない空模様が続いた。


途中、こんな感じ;寒いし泣きそう。


薄明、この雲量。

おおまかなタイムテーブルとしては、観測地点アマルーの、
南緯16度49分
東経145度35分
においては、
・第一接触(部分食の開始):05:45ごろ
・第二接触(皆既食の開始):06:38ごろ
・第三接触(皆既食の終了):06:40ごろ
・第四接触(部分食の終了):07:40ごろ
の予定である。皆既の時間は、2009年の6分強よりはだいぶ短くて、
2分00秒
程度だったはずである。


大阪教育大学皆既日食観測隊。


またも雨。


天使の梯子がみえる;あの先にだいぶ欠けた太陽がいるはずだが。

せめて皆既だけでも晴れて欲しいと願っていたが、 雲の厚さはほとんど変わらずで、 アマルーに集まっていた1000人ほどにも絶望感が漂い始め、 皆既の少し前には、ぼくも、もうこりゃダメかなと思っていた。

そしたら、観測サイトの右ウィング(南側)で、 異様な歓喜の声があがりはじめた(こっちは北側の左ウィングにいた)。 え、みえてきたの、みえてきたの、って感じ。 なんと皆既の数分前ぐらいか、ほんのり三日月太陽がみえはじめたではないか。

さらには、太陽の方向に雲の切れ目が移動して、 皆既のときにはそこそこの大きさの切れ目に、 淡く乳白色に輝くコロナをまとった太陽が姿を現した。

周辺一帯が、怒濤のような歓喜の嵐に包まれたのは言うまでもない。

ぼくはと言えば、今回はじっくりコロナをみるだけにするつもりだったのが、 結局、せわしなくシャッターも押しつつの皆既日食観察となってしまった。

たった2分ほどの奇跡が終わり、 惜しくも第三接触の直前に、太陽はふたたび雲に隠れていったので、 残念ながらダイヤモンドリングはみることができなかった。 しかし、ダイヤモンドリングになっただろう時点では、 雲の切れ目に太陽光が後光のように差し始め、 これはこれでゲームの上手なエフェクトをみているみたいで、 壮絶に素晴らしかったのもたしかである。

第三接触以降は、ところどころ晴れて、 太陽が丸くなっていくところが、ときどき撮れた。


夢中でシャッターを押した中で、一番いいヤツ、と拡大。 まぁ、ぼくの腕ではこんなモンだろう。十二分である。


ダイヤモンドリングになった瞬間。 コンデジでもわかるぐらい、空はまだ青黒い。


同上、ただし、こっちは一眼レフ。


プロミネンスを見せている小倉くん、おばちゃんたちにモテモテ。 ボーグ大活躍、さすが500mm。


絵柄を開けてきたピンホールに見入る大勢の人たち。 ようよう余裕が出てきた。


太っていく太陽を見納め。

今回、大成功とまではいえないが、半成功ぐらいで、 ぼくとしては十分に悔いのないツァーになったし、 他のみんなは少しお楽しみを残したツァーになっただろう。 なにしろ、 金環日食までは今回の皆既日食に参加する予定でなかった松本くんでさえ、 2017年のアメリカの皆既日食には行くと言い出す始末(笑)。 同行者は全員もれなく日食病に罹ったようだった。

第四接触の後、 高揚感は続いていたが、体は結構ボロボロの状態で、 ホテルへ帰路を取る。 ホテルに戻っても、まだ朝の9時半だったので、 軽くモーニングを食べながら、今後の予定などを相談。

学生は水遊びの後で、一眠りに行ったけど、 ここで寝たら夜に眠れなくなるので、 夕食まではちょっと頑張ることにした。

夜はホテルレストランで、ツァーの親睦をかねた懇親会。 もっとも、ドリンクは有料(笑)、 食事のバイキングも朝バイキングの方がよかったぐらいだったけど、 ま、いっか。


ホテルのレストラン。


夜の親睦会。


乾杯の音頭を取る高柴さん。 時間を節約するために、とりあえず、水で乾杯(笑)。 水で乾杯ははじめてだけど、もー気にならない。


料理ゲットは学生にまかせて、こっちはすぐにビールゲットへ。


2杯目はこっちの名産らしいスパークリング。 みんなにも回したら、くちぐちに美味^4。

1時間かそこらで流れ解散になり、部屋へ引き上げる。 が、もちろん、飲み直し。 ワインが2本とビールが半ダースぐらい消費したころに、 ナイトツァーに行っていた住友さんたちが差し入れもって合流。


タイムスタンプみたら9時前だけど、現地時間なら10時ぐらい。 みんな高揚してるんで、いったい何時間呑んだやら。

11月15日(木) ツァー第5日目

メインイベントが終わったので、今日は一日オフに。 学生はグリーン島ツァーへ、松本くんは動物園ツァーにそれぞれ行ったようだけど、 とにかくぼくはダラダラ過ごすことにして、 昼まではHP書いたりボーとしたりして、 午後からゆるりと市内へ出向くことにした。


ゆうべはしこたま呑んだけど、とりあえず、朝からバイキング。

午前中は、プールサイドやクーラーの効いた部屋などで、 ホームページを書いたり、データを整理して過ごした。 余裕も出てきたので、国際電話にもチャレンジ。 フロントで電話の場所を尋ね、コインに両替してもらって、 かけてみたら、自宅の番号を思いっきり間違えて、 どっかのお店につながってしまう(笑)。 2度目は成功。押すボタンが少し多いだけなのにねぇ。


すごいスピードでコインを飲み込む青い電話機。

午後のシャトルバスで市内へ。 途中で方位を考えるけど、どうにもよくわからない。 当然ではあるが、北半球での感覚がぜんぜん通用しないのだ。 シティプレイスでバスを降りて、 とりあえず地図を頼りに南を向いて立ってみたが、 木などの影はこちら(北側)へ伸びている。 つまり太陽は南の方にあるわけだが、 しかし、いまは午後3時過ぎなのである。 というより、太陽はほとんど天頂付近にある感じかもしれない。 方位が気になって仕方がないが、 こっちの人はドンウォーリなのだろう。


影はあまり長くはない。南方向で見上げると太陽がある。

初日から曇り空や雨模様の日々だったが、 今日は青空も多く、したがって日差しが強い。なぜか風も強い。 もう一度、市内のカフェに入るのも魅力的だったけど、 やはり一度は南太平洋の雰囲気を味わっておこうと、 マリーナまで行くことにした。



海へ行っている学生たちと6時に落ち合う予定のシャングリラホテルとロビー。

オージー料理は海沿いのホテルレストランなどに多いことがわかって、 なら、いっそ、最高級のホテルに入ることにした。 美味しいモノを一品+一杯だけやって、 2軒目で安いところへ行けばいいだろう。 でも、予想外にはるかにデラックスなホテルである。 シャングリラホテルは香港で一度だけ泊まったことがあるが、 こっちは土地が広いので、はるかに馬鹿でかい。 ちゃんと落ち合えるかな?


シャングリラホテルを抜けたら南太平洋が広がっていた。


モデルさんかな、撮影会みたいなのしてたんで、ちょっと便乗。。

6時少し前に海から戻ってきた学生と合流。 テラスに沿って並んだレストランを一通り回ったけど、 結局、事前に目星を付けておいた ノース・フード&ワイン という、 たぶん地中海風のレストランに入った。 入ったというか、テラスのテーブルに座った。


左右に広がるテラス側からレストラン厨房方向をみたところ。


テラスの左手と右手。ずーっとレストランが並んでいる。 明るいうちに背中側を撮るのを忘れたが、 背中側は桟橋でヨットとかクルーザーとかが並んでいた。


最初はとうぜん、こっち名物のスパークリング。


最後の夜だしちょっと奮発してロゼにした。


オーナーみたいなご婦人が撮ってくれた。


これが凄かった、その名もシーフードタワー!  左下のステーキが小さく見える。


ステーキなんて最近はほとんど食べないが(食べられないが)、 さすがにオージービーフは食っとかないといけないだろうし、 一切れだけもらった。


文字通りテラスだから、床も板張り。


2本目は白ワインを開けたが、キリッと冷やしてあって、 ボトル1本はぐいぐい呑める味だった。


最後は地ビールで締め。もー堪能。


さすがに暗くなってきた。 暗くてよくわからないが、テーブルの上は累々たる残骸。

マリーナ側。


Black&Whiteタクシーでホテルへ戻る途中。 人数が多いので中型ぐらいを予想していたが、 バンみたいなのが来て、ちょっと驚いた。 基本、大きいのね。

夜のお仕事もあるので、レストランではあまりたくさんは呑まずに、 ホテルへ戻り、今晩は野口・松浦組が星空観察ツァーへ。 こっちは売店で買い出しをして、小倉・川端の居残り組と、 呑みながら待つことに。 …結局、毎晩の宴会になっているような。。。。


11時ぐらいの状況。 たぶん10時ぐらいに観察ツァー組が戻ってきて、 相前後して住友さんたちも差し入れ持参で乱入してきたぐらいだろう。 レストランから数えると、ペースはゆっくりだけど、 もう5時間ぐらい呑んでいるので、 ぼくもここらへんは記憶がほとんどなく、 気づいたら、翌朝の8時ぐらいにちゃんとベッドの上で寝ていた。 後で聞いたら、3時ごろにベロベロで部屋へ引き上げたらしいが、 学生はさらにホテルの駐車場などで南天の星空を撮影して、 ずいぶんといろいろな写真が撮れたようだ。

11月16日(金) ツァー第6日目


最終日の朝食。 さすがにちょっと二日酔いが残ってたし、食欲もなかったが、 機内食は期待できないので、少しだけ食べておいた。 時間は+1時間。


関空ほどではなかったけど、やっぱり行列して、 ようやく免税店へ辿り着いた。 今回はときどきカードを使ったので、 あまった現金を使い切るために、あれこれ物色して、 最後は小銭も全部きれいに使い切った。


グッバイ、ケアンズ。 ラッキーなことに帰りは窓際席で、 おおおお、珊瑚礁が、グレートバリアリーフが、 そばまではいけなかったけど、上空から堪能できた。





青い海と群青色の空もしっかり撮れた。

帰りの機内食も撮ったけど、やはり海と空で終わっておこう。



ワン・モア・ピリオド;暮れなずんでいく東の空(飛行機は北へ飛んでいる)。 東の空が一様に赤く暗くなっていくのは、地上では見られないような気がする。 おそらく、地上では地平線までの距離が小さくて大気がまだ透明だけど、 上空からだと地平線までの距離が長く大気が光学的に厚くなるためだと思う。 皆既日食中の地平線が赤くなるのと同じような感じだろうか。

後始末

2009年の皆既日食では、後始末もやまほど書いたけど、 オージー的には、もういいや。 たしかに話には聞いていたけど、まさにしょっちゅう Don't worry. で、 あくせくと細かいことに無駄な時間を使うのがバカらしくなってくるなぁ。 さっき溜まっていた新聞をざらっとみたら、解散とか総選挙とか、 ほんっっっっとに、細かすぎてどうでもいい話が1面に出ていた。

まあとにかくは、ケアンズ、もう一度、行きたい。 オージー、明るくて陽気だし、南天の星空しっかりみたいし、 今回ガマンした、グレートバリアリーフとコアラツァーも行きたいし、 ワインとシーフード料理ももっともっと堪能したい。 心の故郷が、また増えた(笑)。

おわりに

以下は2009年皆既日食HPの最後に書いたことだけど、 まったく同じことをコピペしておこう。

冒頭にも書いたように、皆既日食だけは、 実際に体験しないと、どういう意味があるのかわからないと思う。 ぼく自身がそうだったし。 だから、チャンスがあれば、是非、日食ツァー(+α)に行くことを勧める。

ぼく自身がとくに日食フリークだったわけではなく、 もともとはクルーズ目当てで日食は見えればめっけもんのつもりだった。 そして、期待以上にふじ丸のクルーズは素晴らしくて、 予想通りに「クルーズ病」には罹ってしまった。 帰ってからも即座に、ふじ丸のつぎのクルーズ予定や、 飛鳥IIで世界一周のクルーズをしたらどれくらいかかるとか (約100日で、400万程度)調べたりして、 貯金を全部はたけば行けそうだけど、 100日も休んだらクビになるなぁ、とか思ったりしたものだ。

一方、初日のオリエンテーションで、黒田さんが、 “みなさん、きっと日食病に罹りますヨ。 これはお医者さんでも治せないので、 船の医務室にいっても無駄です…” などと、参加者を笑わせていて、 ぼくもワハハと笑い流していたのだが。 職業柄、太陽の画像なんて飽きるほどみているし、 最近ではひので衛星の詳細なムービーを講義でみせたりもしていて、 まさか、「日食病」などと思っていたわけだ。 しかし、自分の目でみた“黒い太陽”は、 まったく違うものだった。 ものの見事に「日食病」に罹ってしまったのである。

美味しそうな料理の写真をみることと、 実際に美味しい料理を食べることとは、まったく違う。 皆既日食の写真はたしかに綺麗だが、あくまでも綺麗な写真でしかない。 やはり本物はまったく違うということだ。 ダイヤモンドリングが変化するときの光の躍動や、 赤い水平線の不思議な色彩は実際にみないことにはわからないと思う。 自分たちを取り巻く自然界のセンス・オブ・ワンダーは、 やはり自分自身の五感で捉えるのが一番大事である。 ほんと、何とかチャンスをみつけて、ぜひ皆既日食を体験してみて欲しい。 おそらく人生観が大きく変わるだろう。

すでに現実世界に戻って、雑用書類の山に埋もれているけど、 以前とは世界の見方が変わってしまっていることもわかる。 自分の世界がとてもちっぽけなものだったと思うし、 世事にあれこれと悩むのがあほらしくなって、 多少のことはどうでもいい気になってきた。 つぎに日本で皆既日食がみられるのは2035年の9月2日、26年後である。 80歳かぁ、少しやばいなぁ、まだ何とか生きているかなぁ。 クルーズ船は出るかなぁ。 などと、先のことを調べながら、 2012年11月13日のオーストラリアを、 一度は見ておきたかった南天の星空と併せて、 いまは本気で考えている。