よくある誤解 バーニアとアポジモーター
バーニアスラスター(vernier thruster)
- 宇宙機の姿勢制御に用いられるスラスター群のうち,微調整(バーニア)用の小出力の噴射装置
- 自機の位置や速度を精密に微調整するために使われます
- ガンダム世界ではなぜかメインスラスターっぽい扱い
アポジキックモーター(apogee kick motor)
- 楕円軌道の遠地点(アポジ)で用い,そこから円軌道や更に遠い軌道へ移行(アポジキック)するための大型の軌道変更用ロケットエンジン
- したがって宇宙機の全質量を動かすために割と大きな推力が必要とされます
- ガンダム世界ではなぜか姿勢制御用の小型スラスターっぽい扱い
大気圏突入
クラウンさんのザクをはじめ大気圏へ突入した物体が高温に加熱される理由は,大気との摩擦熱ではなく,前面の空気が急激に圧縮されることによる断熱圧縮のためです.流れ星が光る理由と同じです.
ラグランジュ点
ガンダム世界のスペースコロニーは地球-月系のロッシュポテンシャルのラグランジュ点を周回するよう設置されているそうです.L1 〜 L5
の5つ存在するラグランジュ点とは,2つの天体が作るポテンシャルの勾配が0になり力学的に安定する場所です.実際に太陽-地球系のラグランジュ点を周回するよう設置された宇宙望遠鏡が稼動しています.なおラグランジュ点の呼称は,1772年に L5
までの解を発見したジョゼフ・ルイ・ラグランジュにちなんでいますが,L1 〜 L3
は1767年にレオンハルト・オイラーが発見してい
ました
(いわゆるスティグラーの法則).
松本 桂 (大阪教育大学 天文学研究室)
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