天文情報処理研究会第38回会合
@宇宙科学研究所$1999/07/15-16

マルチメディア天文教育用ソフト
宇宙スペクトル博物館<X線編>
  −虹からクェーサーまで−
みえない星空への招待

粟野諭美岡山天文博物館
北本俊二大阪大学
衣笠健三ぐんま天文台
田島由起子サイエンスデザイナー
福江 純大阪教育大学
Cosmic Spectral Museum
スペクトルとは?
身のまわりの世界
スペクトル実験室
観測衛星と検出器
太陽と太陽系天体
恒星と連星の世界
われわれの銀河系
遠くの銀河と宇宙
スペクトル用語集
スペクトル画像集
  1. 博物館案内

    上記のメンバーで開発を進めている天文教育用マルチメディアソフト 『宇宙スペクトル博物館:X線編』について紹介したい。

    目的 X線天文学は今や天文学における一大分野であるが、 この目に見えない電磁波は実生活においては馴染みの薄いものであり、 宇宙X線についてはなおさら感覚的にわかりにくいだろう。 本ソフトでは、宇宙X線の世界をビジュアル的に理解するために、 ブラウザ上で実現されるマルチメディア機能を利用して、 静止画(CGや写真)や動画(gifアニメやaviムービー)を多用して、 視覚に訴える動く絵本のような形にしたいと考えている。 まず身近な世界から“X線とは何なのか?”という視点で導入をはかり、 さらにX線スペクトルの観測によって新たに開かれた星空の世界を、 可視光との違いを比較しながら初心者にも解りやすく紹介していく。
    対象 ソフトの対象は、高校生以上で大学生から一般までを想定している。 ブラウザを利用して初心者の一人学習が可能であるとともに、 授業や講義や講演などでの解説用に、 さらには専門家の一般講演などでのプレゼンテーション資料としても 十分活用できるものを目指している。 資料的にも利用価値があると思われる。
    構成 全体の構成は、全10セクションから成り立っており、 どこからでも自由に学べるようになっている。 各セクションの初めのページは、初心者にも馴染みやすいように、 カラー画像を中心にかんたんな解説を加え、おおまかな内容を把握して もらえるような構成になっている。さらに高度な内容については、 プラスαのページとして、さらに奥の階層へと進む形式になっているため、 学習者のレベルに合わせて、活用できるよう配慮されている。 ハイパーテキスト形式で製作しているため、 上の4分野(sector)の下に各研究テーマのフロア(floor)があり、 さらにその下に各研究室(room)が所属するというイメージで、 ページを階層的に構成することができる。 この利点を活かしながら各解説ページは作られているが、 難しい内容やより詳しい解説を必要とするものについては、 プラスαとしてリンクを貼り、さらに下の階層に落としている。 このような階層構造を持たせることによって、 ユーザーの興味のレベルにしたがって、 知的関心をざっと満たすモノから、 いくらでも掘り下げた理解をするモノまで、 対応することが可能となっている。
    備考 本ソフトはHTMLで記述したが、 また、より広く簡便に使ってもらうために、原則として、 HTML言語の高度な機能やプラグインは用いない方針を採用した。
    なお、X線編については、裳華房より市販される予定であるが、 『宇宙スペクトル博物館』シリーズとして、 電波編、可視光編(改訂版)も計画中である。 幅広いご意見をいただき、参考にさせていただきたいと考えている。

  2. ブラウザを用いたプレゼンテーションの利点

    以上、 ブラウザを用いてのプレゼンテーションは、 かなり利用価値が高い。 (ただし、準備する手間暇はかなりかかるので、 相当使い回ししないと“モト”が取れない。)

  3. マルチメディアソフトの特徴と特性マップ

    • ビジュアル性:視覚化が容易である
    • インタラクティブ性
    • レベル性:階層構造が可能
      easy mode, normal mode, hard mode
    右図:特性マップ(紙面に垂直方向にレベル性の軸がある)